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巻9 色々(いろいろ)(おど)りおもろ御双紙(おんそうし)

 

476

(あおり)(ぎみ) 見物(みもの)(ぎみ) () ()り、       

後勝(のちまさ)り います (きよ)らさ       

首里(しゅり)モリ 真玉(まだま)モリグスク、

按司(あんじ)大主(おそい)が (たか)(ひと)が 御身(おんみ)

石割(いしわり)は (かね)(わり)は (この)み、        

石子(いしらご)は ()石子(いしらご)は ()()げて、    

(たけ)(たか)く 幅広(はばひろ)く ()()げて、

 

477

首里(しゅり)モリグスク、

このように (つく)ります

(きよ)らかな(くに)(たから)              

真玉(まだま)モリグスク、

(きこ)浦添(うらそえ)こそ、                 

(くに)兄弟(きょうだい) ()されて

(きこ)中北(なかにし)に、              

縁結(えんむす)び なされて

(たから) ()()(よう)に、

真玉(まだま) ()()(よう)

 

478

(せん)(ぎみ)が (きみ)(よし)が、          

(うつく)しい拍子(ひょうし) ()()み ()()げて

久米(くめ)(しま) (かね)(しま)、         

(かね)(ぐすく) モリグスク、          

按司(あんじ)大主(おそい)が (たか)(ひと)が、       

 

479

(さす)(かさ)が (くに)(もり)が、          

(きよ)屏風(びょうぶ) ()()めば 見物(みもの)                 

大里(おおざと)()()みモリ、          

(たか)(ひと) (きよ)(ひと)が、

(うま)() (はし)()(よう)に、

(うし)() ()()(よう)に、

蜻蛉(あけず)() ()()(よう)に、      

(はべる)() ()()(よう)に、       

 

480

(きみ)(よし)(きみ)の、            

(きみ)大主(おそい)(ぎみ)の             

()じらず ()ます

百人(ももそ) 妻女(よちよく)、            

七十人(ななそ) 妻女(やちよく)            

百人(ももそ)(なか)に、

七十人(ななそ)(なか)

 

481

百倉(ももくら)()(なら)び、            

()十倉(そくら)友寄(ともよせ)            

友寄(ともよせ)こそ 島討(しまう)御蔵(みくら)               

玉城(たまぐすく) ある、           

親思(おやおも)いは ()()して        

 

482

(たから)(たま)(ぐすく)、          

()りて ()たい

百名(ひゃくな)玉城(たまぐすく)、         

(ちち)なる玉城(たまぐすく)

 

483

城間(ぐすくま)の 年寄(としより)に、      

年寄(としより)に 広庭(ひろみや)に       

()(なお)し 神様(かみさま) (かみ)

又吉(またよし)の 年寄(としより)に、      

 

484

世寄(よよせ)(ぎみ)の、         

()りて (あそ)べば

拍子(ひょうし)()()げれば

(きみ)も (おど)

(おも)(きみ)の、

()りて (あそ)べば

 

485

久米(くめ)世寄(よよせ)(ぎみ)、       

糸縅(いとおどし)            

なめし(いと)

()げて ()(まわ)

精高世寄(せだかよよせ)(ぎみ)、        

 

486

()かぬ(くに)(かね)が、           

(なび)かせて ()りて      

(くに)(しつらい)は、           

(きみ)を 御嶽(みたけ)こそ 見遣(みや)り、      

 

487

(きこ)()高子(だかこ)が、

()()ける(おう)

()()()高子(だかこ)が、

(きこ)(あん)()大主(おそい)は、

()()(あん)()大主(おそい)は、

 

488

大君(おおきみ)

大君(おおきみ)が 御船(みふね)            

()げ (つな)は (つよ)く       

(くに)(もり)、            

(くに)(もり)御船(みふね)

   

489

(せん)(ぎみ)は、       

(きこ)(せん)(ぎみ)は       

「アエケ ヤレ」

(せん)(ぎみ)は、       

()()(せん)(ぎみ)

「アエケ ヤレ」

按司(あんじ)大主(おそい)御前(みまえ)、   

「アエケ ヤレ」

(たか)(ひと)御前(みまえ)

「アエケ ヤレ」

 

491

()宇根(うね)グスク(わか)(ひと)、        

(わか)(ひと) 頬垂(ほほた)(びと)               

()()げたき(ひと) (わか)(ひと)

(かみ)(みね) (つど)いて、

(かみ)(たけ) (つど)いて

(きみ)(たみ)が (うれ)しさよ、

御民(みたみ)が (うれ)しさよ

(わか)(ひと) ()()い ()ます、

(ほほ)()れを ()ます

 

492

走人(はいや)が ()糸数(いとかず)に、         

()きたれば 「ハイ」

走人(はいや)よ 退()けとて          

(まえ)にと 「ハイ」

走人(はいや)が 島中(しまなか)に、          

()きたれば

走人(はいや)よ 退()けとて          

手広(てひろ)げ 「ハイ」

 

493

()かぬ(くに)(かね)は、                

()かぬ(くに)(もり)は                 

()() 間違(まちが)えるな                 

(めずら)しき() 間違(まちが)えるな           

()() ()ちて (おど)

(めずら)しき() ()ちて ()

上下(かみしも)の ()()、           

(はな)(じま)の ()()

 

494

(きょう)(よい)久志(こせ)が、               

(きょう)結饒(ゆいね)()が                

(あや)(まれ)なる屏風(びょうぶ)            

(ゆい)久志(くし)が 細工(さいく)

結饒波(ゆいねは)が 細工(さいく)

 

495

(きこ)(おに)(ぐすく)、               

(いと)しい(きみ) () ()り           

上下(かみしも)               

()()わせて います

()()(おに)(ぐすく)

 

496

(きこ)(きみ)(よし)は、               

見物(みもの)(おど)り ()りられて

(わし)羽根(はね) (なび)かせ               

()()(きみ)(よし)

首里(しゅり)モリグスク、

真玉(まだま)モリグスク、

 

498

(きこ)具志川(ぐしかわ)に、          

聖域(しけち)(なわ) ()清水(しみず)        

(しま)()果報(かほう)清水(しみず)(いずみ)          

()()具志川(ぐしかわ)に、

()()真顔子(まちらす)に、          

(くに)(しつらい)が、             

499

伊計(いけい)のモリグスク、         

京寄接揚(きょうよせはぎあがり)(まる)は           

(なみ) ()うて (はや)御船(みふね)

大国(おおくに)グスク、

()太郎(たら)(わか)大工(だいく)、          

 

500

久米(くめ)(さす)(かさ)は、          

(ちち)(おも)(きみ)

() (そろ)う 具志川(ぐしかわ) (つく)り         

()()(さす)(かさ)が、

 

501

(きこ)(てる)(きみ)は、             

大君(おおきみ)が ()()

按司(あんじ)大主(おそい) (そろ)

(いと)しさよ             

()()(てる)(ぎみ)は、

首里按司(しゅりあんじ)大主(おそい)

真玉按司(まだまあんじ)大主(おそい)

 

504

(かな)(ふく)のモリに、           

()()う (たか)(ひと)

(きも)(いた)さ ()()し         

(ちち)なる(かた)

安谷屋(あだにや)のモリに、          

 

505

()()(きみ)

(きみ)(さま)が 御船(みふね)

(なみ) ()()せ つり()わせて

渡嘉敷(とかしき)のおとこ()、         

おとこ()は 船頭(せど) し()

()(くち)(しお)の、            

息吹(いぶ)いて ()がり()れば       

新麦(にいむぎ)が、              

初麦(はつむぎ)が ()(ばな)            

(いち)(かじ)()りが、

(てん)のものものしさ

(かめ) ()り、

ジュゴン ()るといえば

()ろうと、

()らせよと ()らせよ

 

506

屋比(やび)() 村中(むらなか)に、          

どのような (たみ)が ()

大君(おおきみ) (なお)()り 使(つか)

(たけ)が ()(なか)に、

馬引(うまひ)きに なり ()って、             

()(うし)に なり ()って、

 

507

()良波(らは)(きみ)の、            

瀬名波(せなは)(きみ)の            

下鳴(したと)()(いくさ)、            

(しも)名高(なだか)(いくさ)

(あた)り ()めつけて、         

垣内(かきうち) ()めつけて

板門(いたもん) ()めつけて、

金門(かなもん) ()めつけて

(あた)り (まも)りつけて、

垣内(かきうち) (まも)りつけて

 

509

(きこ)(せの)(きみ)は、               

うらうらと (はし)

()()(せの)(きみ)は、              

 

510

()北風(にし)が まにまに ()けば、       

按司(あんじ)大主(おそい)王様(おうさま)の              

御船(みふね)こそ ()ちます

()()が ()()こそ ()けば、