巻

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巻８　おもろ音揚(ねあがり)、阿(あ)嘉(か)犬子(いんこ)がおもろ御(おん)さうし

３９３

おもろ音揚(ねあがり)が、　　　　　　　　　　　

喜(よろこ)ばれてからは　　　　　　　　　　

今(いま)こそ　忌(い)み気(き)は　勝(まさ)る　　　　　　　　　　　　　

祝詞(せるむ)音揚(ねあがり)が、　　　　　　　　　　　　

３９４

おもろ音揚(ねあがり)が、　　　　　　　　　　　　　　　　

時(とき)を　取(と)る　正(ただ)しさ

来(き)たれ　世(よ)　添(そ)うて　あります

祝詞音揚(せるむねあがり)が、　　　　　　　　　　　　

京(きょう)の内(うち)　命(ぬき)丸(まる)が、　　　　　　　　　　　　　　

時(とき)を　取(と)る　正(ただ)しさ

グスク　二(ふた)グスク、

時(とき)を　取(と)る

御殿(おどの)　二(ふた)御殿(おどの)、　　　　　　　　　　　

時(とき)を　取(と)る

３９５

おもろ音揚(ねあがり)が、　　　　　　　　　　　　　　　

御民(みたみ)　玉(たま)より　勝(まさ)り　　　　　　　　　　

祝詞音揚(せるむねあがり)は、　　　　　　　　　　　　

同胞(はらから)の民(たみ)、　　　　　　　　　　　　　

３９６

おもろ音揚(ねあがり)は、　　　　　　　　　　　　　　　

祝詞音揚(せるむねあがり)は　　　　　　　　　　　　　　　

見(み)て　行(ゆ)きて　　　　　　　　　　　　

面影(おもかげ)こそ　立(た)ちます　　　　　　　　　　

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)の、　　　　　　　　　　　

思(おも)う世(よ)の主(ぬし)は

３９７

おもろ音揚(ねあがり)は、

祝詞音揚(せるむねあがり)が　　　　　　　　　　　　　

御顔(みかお)　拝(おが)み

世(よ)の神酒(みき)多(おお)く

保栄茂(ほえむ)意地気按司(いじきあんじ)の、　　　　　　　　　　　　　

保(ほ)栄(え)茂大国按司(むおおくにあんじ)の　　　　　　　　　　

３９８

おもろ音揚(ねあがり)は、　　　　　　　　　　　　　　　

祝詞音揚(せるむねあがり)は　　　　　　　　　　　　　

思(おも)う限(かぎ)り　ありなさい

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)は、

按司(あんじ)の中(なか)の按(あん)司(じ)

３９９

おもろ音揚(ねあがり)は、

世(よ)の清(し)水(みず)　出(だ)されて

神(かみ)太陽(てだ)の　揃(そろ)い　　　　　　　　　　　

守(まも)られて

祝詞音揚(せるむねあがり)は、　　　　　　　　　　　　

４００

おもろ音揚(ねあがり)は、

愛(いと)しき馬(うま)　召(め)されて

島討(しまう)ち　勝(まさ)りまして

祝詞音揚(せるむねあがり)は、

聞(きこ)え按(あん)司(じ)大主(おそい)は、

４０１

おもろ音揚(ねあがり)は、

祝詞音揚(せるむねあがり)は

果報(かほう)国王(てだ)　　　　　　　　　　　　　　

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)は、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)は

４０２

おもろ音揚(ねあがり)は、

祝詞音揚(せるむねあがり)は

精(せじ)の綱(つな)　麗(うるわ)しく

乞(こ)いて　打(う)ちます

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)は、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)

４０３

おもろ音揚(ねあがり)は、

百歳(ひゃくさい)まで　いますれば　

島(しま)手綱(てづな)　国(くに)御杖(みつえ)　　　　　　　　　　

差(さ)し上(あ)げよ

祝詞音揚(せるむねあがり)は、　　　　　　　　　　　

４０４

おもろ音揚(ねあがり)は、

祝詞音揚(せるむねあがり)は　　　　　　　　　　　　

おもろ種(だね)　乞(こ)います

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)は、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)は

４０５

おもろ詠(うた)い人(びと)、　　　　　　　　　　　　　　　

精(せじ)の口(くち)正(ただ)しく

押(お)し合(あ)いなして

持(も)ち満(み)ちたるグスク

祝詞(せるむ)詠(うた)い人(びと)、　　　　　　　　　　　

４０６

おもろ音揚(ねあがり)は、

民(たみ)の　競(きそ)いこそ

願(ねが)います国王(てだ)

祝詞音揚(せるむねあがり)は、

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)は、

４０７

おもろ音揚(ねあがり)は、

祝詞(せるむ)音揚(ねあがり)は

金持(かねも)ちの御太刀(みたち)　　　　　　　　

差(さ)し遣(や)り　栄(は)えます

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)の、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)

４０８

おもろ音揚(ねがあり)は、　　　　　　　　　　　

祝詞音揚(せるむねあがり)は　　　　　　　　　　

御星(みほし)御太刀(みたち)　　　　　　　　　　

富子(とむこ)が細工(さいく)、　　　　　　　　　

細工(さい)師(く)調(とどまり)は　　　　　　　　　　

柄(つか)鞘(さや)見(み)れば、　　　　　　　　　

真玉(まだま)照(て)る御太刀(みたち)

４０９

おもろ音揚(ねあがり)は、

祝詞音揚(せるむねあがり)は

国中(くになか)の

首里(しゅり)モリグスクへと

早(はや)く　迎(むか)えさせ

拝(おが)み　輝(かがや)きて　　　　　　　　　　

保(ほ)栄(え)茂(む)　世(よ)の主(ぬし)は、　　　　　　　　　　

米須(こめす)殿(どの)　通(かよ)い　　　　　　　　　

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に、

４１０

音揚(ねあがり)が　おもろ、

貢(みつぎ)　早(はや)く　行(ゆ)きて

御肝(おぎも)に　かない

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)は、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)は

４１１

おもろ音揚(ねあがり)は、

祝詞音揚(せるむねあがり)は

おもろを　差(さ)し上(あ)げよ

祝詞(せるむ)を　差(さ)し上(あ)げよ

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)は、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)は

４１２

おもろ音揚(ねあがり)は、

祝詞音揚(せるむねあがり)は

役人(やくにん)の　嬉(うれ)しい愛(いと)しい国王(てだ)　　　　

首里(しゅり)モリ　います、

尚(おぎ)真(やか)王愛(もいがな)し　　　　　　　　　　　　　

島中(しまなか)の神里(かみざと)、　　　　　　　　　　　　　　

４１３

おもろ音揚(ねあがり)は、

名高(なだか)き　見揚(みや)広場(がり)

多(おお)くの　役人(やくにん)　民(たみ)　　　　　　

生(い)かし　名(な)を揚(あ)げられて

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)は、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)は

４１４

おもろ音揚(ねがり)は、

真(ま)手川(てがわ)に　涼(すず)み　　　　　　　

祝(いわ)いに　来(き)まして

島中(しまなか)の役人(やくにん)の

揃(そろ)い　誇(ほこ)りまして

祝詞音揚(せるむねあがり)は、

４１５

おもろ音揚(ねあがり)は、

樋川(ひかわ)坂(ざか)　来(き)まして　　　　　　　　　　　

慶良間(けらま)を　眼差(まなざ)し　しまして　　　　　　

祝詞音揚(せるむねあがり)は、

京(きょう)坂道(さかみち)　来(き)まして　　　　　　　　　　　

４１６

おもろ音揚(ねあがり)は、　　　　　　　　　　　　　　　　

祝詞音揚(せるむねあがり)は

見(み)揚(あ)げる　寄鳴(よせなり)鼓(つづみ)　　　　　　　　　　　　　　　

米須(こめす)世(よ)の主(ぬし)の、　　　　　　　　　　　

まこと世(よ)の主(ぬし)の

４１７

おもろ音揚(ねあがり)は、

天(てん)より下(した)の

役人(やくにん)　選(えら)ぶ　国王(てだ)　　　　　　　　　　　

祝詞音揚(せるむねあがり)は、

４１８

おもろ音揚(ねあがり)は、

祝詞音揚(せるむねあがり)は

末永(すえなが)く　あります

首里(しゅり)モリ　います、

尚(おぎ)真(やか)王(もい)愛(がな)し　　　　　　　　　　　　　　

天(てん)に　照(て)る　星(ほし)こそ、

星(ほし)こそ　数(かぞ)えなさい

４１９

おもろ真声子(まこいし)は、　　　　　　　　　　　　　　

こうも　鳴(と)響(よ)みます

国王(てだ)を　見(み)ます　　　　　　　　　　

祝詞(せるむ)　真声子(まこいし)は、　　　　　　　　　　　　

４２０

おもろ音揚(ねあがり)は、

今(いま)こそ　世(よ)は　勝(まさ)る

治(て)金(がね)剣(まる)　　　　　　　　　　　　　　

島(しま)　統(す)べて　来(き)ます

祝詞(せるむ)音揚(ねあがり)は、　　　　　　　　　　　

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)は

４２１

おもろ音揚(ねあがり)は、

祝詞音揚(せるむねあがり)は

直(なお)して　良(よ)く　勝(まさ)ります

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)の、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)の

今日(きょう)　吹(ふ)きます風(かぜ)は、

疾(はや)き風(かぜ)こそ　吹(ふ)きます　　　　　　　　

４２２

おもろ音揚(ねあがり)は、

祝詞音揚(せるむねあがり)は

御顔(みかお)　なくし

笑(わら)い掛(が)けに　して、

顔崩(かおくず)しに　して

蜘蛛(くも)と　戯(たわむ)れ、

蜂(はち)と　戯(たわむ)れ

４２３

おもろ音揚(ねあがり)は、

喜(よろこ)び欲(ほ)しく　　　　　　　　　

誇(ほこ)り欲(ほ)しく

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)は、

屋比(やび)久(く)殿方(とのがた)は　　　　　　　　

４２４

おもろ音揚(ねあがり)は、

鬼(おに)城(ぐすく)　気(き)を合(あ)わせ　　　　　　　

祝詞音揚(せるむねあがり)は、

４２５

おもろ音揚(ねあがり)は、

降(お)りたさ　愛(いと)しさ

清(きよ)らなる御殿(おどの)

祝詞音揚(せるむねあがり)は、

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)の、

４２６

おもろ音揚(ねあがり)は、

笑顔(えがお)に　顔(かお)に　笑顔(えがお)に

神(かみ)太陽(てだ)こそ　知(し)りまして　　　　　　　

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)の、

４２７

おもろ音揚(ねあがり)は、

上(のぼ)り　見(み)て　勝(まさ)り

祝詞音揚(せるむねあがり)は、

聞(きこ)え鬼(おに)城(ぐすく)、　　　　　　　　　　　　　　　

４２８

おもろ音揚(ねあがり)は　造(つく)り、

祝詞音揚(せるむねあがり)を　成(な)して

沖縄(おきなわ)　鳴(と)響(よ)む

真物内(まものうち)　見(み)たる

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に　造(つく)り、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

４２９

おもろ音揚(ねあがり)は、

祝詞音揚(せるむねあがり)は

直(なお)して　鳴(と)響(よ)め

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)の、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)の

４３０

音揚(ねあがり)は、　　　　　　　　

外国(そとぐに)　行(い)ったので　　　　

音揚(ねあがり)は

おもろを　求(もと)め

音揚(ねあがり)は、

島中(しまなか)

音揚(ねあがり)は、

笑(わら)って　行(い)きました

４３１

おもろ音揚(ねあがり)は、　　　　　　　　　

按司(あんじ)果報(かほう)こそ　　　　　　　　

役人(やくにん)は　良(よ)き　　　　　　

祝詞音揚(せるむねあがり)は、　　　　　　　

４３２

おもろ音揚(ねあがり)は、

祝詞音揚(せるむねあがり)は　　　　　　　　

おもろを　和(あ)えて　　　　　　　　　　

祝詞(せるむ)こそ　さかな

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

４３３

おもろ音揚(ねあがり)は、

勝(すぐ)れの剣(つるぎ)　見(み)たる

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)の、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)の

４３４

おもろ音揚(ねあがり)は、

祝詞音揚(せるむねあがり)は

見(み)揚(あ)げる寄聞(よせぎき)鼓(つづみ)　　　　　　　　　　　　　　

米須(こめす)世(よ)の主(ぬし)の、　　　　　　　

真物(まもの)世(よ)の主(ぬし)の　　　　　　　　

４３５

おもろ音揚(ねあがり)は、

祝詞音揚(せるむねあがり)は

島討(しまう)ち乗(の)り御馬(みうま)

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)の、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)の

馬(うま)愛(がな)し　乗(の)られて、　　　　　　　　

喜舎場(きしゃば)口(ぐち)　曳(ひ)き寄(よ)せて　　　　　　　　

４３６

阿(あ)嘉(か)の御(お)祝付(えつき)は、　　　　　　　　　　

饒波(ねは)の御(お)祝付(えつき)は　　　　　　　　　　　

首里(しゅり)こそ

百(もも)浦(うら)　引(ひ)く　グスク

首里(しゅり)親(おや)樋川(ひかわ)、　　　　　　　　　　　　　　　

水(みず)からこそ　世(よ)を治(おさ)める

グスク親(おや)樋川(ひかわ)、　　　　　　　　　　　　　　

４３７

阿(あ)嘉(か)の子(こ)が　大里(おおざと)　行(ゆ)きて、　　　　　

大里(おおざと)の思い出(おも　で)の按司(あんじ)　　　　　　　　

饒波(ねは)の子(こ)が　島尻(しまじり)　行(ゆ)きて、　　　　　

苗(なえ)　苗(なえ)田(だ)　升目(ますめ)　見(み)たる、

４３８

阿(あ)嘉(か)の子(こ)が　饒波(ねは)の子(こ)が、　　　　　　

百按司(ももあんじ)の群(む)れ思(おも)う按(あん)司(じ)

大里(おおざと)は　里(さと)からこそ、　　　　　　　　　

嘉手(かで)志(し)川(がわ)は　水(みず)からこそ、　　　　　　　

４３９

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

勾玉(まがたま)　寄(よ)せ　　　　　　　　　　　

御(お)グスク　造(つく)り

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は、

４４０

阿(あ)嘉(か)の御(お)祝付(えつき)は、

拍子(ひょうし)の槌(つち)打(う)てば　　　　　　　　　　　　

千代(ちよ)に　あります

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は、

４４１

阿(あ)嘉(か)の御(お)祝付(えつき)が　嬉(うれ)しき按司(あんじ)

世掛(よが)け拍子(ひょうし)　差(さ)し上(あ)げよ

饒波(ねは)の子(こ)が　嬉(うれ)しき按司(あんじ)、

安谷屋(あだにや)の　嬉(うれ)しき按司(あんじ)、　　　　　　　

安谷屋(あだにや)御役人(おきて)、　　　　　　　　　　　

良(よ)歌人(たいきよ)は　聞(き)きます　　　　　　　　　

４４２

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

あけがたの太陽(てだ)が

上(のぼ)り　照(て)ります様(よう)に

御顔(おかお)の　見(み)たさよ

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は、

４４３

阿(あ)嘉(か)の御(お)祝付(えつき)は、

目(め)取(どる)真(ま)御役人(おきて)　　　　　　　　　　　　

こう　あればこそ

御側(おそば)は　寄(よ)り来(く)る

饒波(ねは)の　御祝付(おえつき)は、

４４４

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

降(お)りたいと　いまして

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は、

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)は、

４４５

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

永遠(とわ)の命(いのち)　　　　　　　　　　　　

若(わか)国王(てだ)に　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　　

下(した)の世(よ)の主(ぬし)の、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)は

４４６

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

他所(よそ)の浦(うら)に　在(あ)り　　　　　　　

貢(みつぎ)　寄(よ)せ　掻(か)き寄(よ)せ　　　　　　　

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は、

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)の、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)は

４４７

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は、

牛(うし)　乞(こ)えば　吾(われ)に　下(くだ)さい

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)の、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)に

４４８

阿(あ)嘉(か)の御(お)祝付(えつき)は、

聖(し)酒(けち)　真(ま)神酒盛(みきも)りは　　　　　　　　

八千代(やちよ)に　若(わか)国王(てだ)　栄(は)え　　　　　　　　　　　　　

饒波(ねは)の御(お)祝付(えつき)は、

４４９

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は

十百人(とももそ)の　遊(あそ)び　　　　　　　　　　

見(み)てこそ　羨(うらや)みます

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は、

４５０

阿(あ)嘉(か)のお祝付(えつき)は、

饒波(ねは)のお祝付(えつき)は

百(もも)浦(うら)　守(まも)る

世(よ)守(まも)る御殿(おどの)

下(した)の世(よ)の主(ぬし)は

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)は

石(いし)金子(かねこ)　遣(や)りまして

棚(たな)原子(ばらし)　遣(や)りまして

４５１

阿(あ)嘉(か)のお祝付(えつき)は

饒波(ねは)のお祝付(えつき)は

島(しま)世(よ)　揃(そろ)えて　差(さ)し上(あ)げよ

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)は

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)は

４５２

阿(あ)嘉(か)のお祝付(えつき)は

饒波(ねは)のお祝付(えつき)は

島(しま)世(よ)　寄(よ)せて　差(さ)し上(あ)げよ

下(した)の世(よ)の主(ぬし)は

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)は

４５３

阿(あ)嘉(か)の子(こ)が

おもろ鼓(つづみ)　打(う)てば

百(もも)浦(うら)　打(う)ち寄(よ)せよ

饒波(ねは)の子(こ)が

おもろ鼓(つづみ)

４５４

阿(あ)嘉(か)のお祝付(えつき)は

島(しま)の巫女(ゆた)なれば

他人(たり)国(る)から　来(き)ます

饒波(ねは)のお祝付(えつき)は

４５５

阿(あ)嘉(か)の子(こ)に　寄打(よせ)鼓(うち)　　　　

持(も)って　取(と)らせて

寄打(よせうち)鼓(つづみ)こそ　　　　　　　　　　

島(しま)に　打(う)ち寄(よ)せよ

饒波(ねは)の子(こ)に　鳴呼(なり)鼓(よぶ)は、　　　　　　　　　　

持(も)って　取(と)らせて

４５６

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

石(いし)金(がね)の様(よう)に　　　　　　　　　　　

命(いのち)　継(つ)ぎなさい

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は、

伊饒波(いのは)の地頭(じとう)なれば、　　　　　　

４５７

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は

この拍子(ひょうし)　揚(あ)げよ

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)の、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)の

大和(やまと)へも　船頭(せど)、

筑紫(つくし)へも　船頭(せど)

４５８

阿(あ)嘉(か)の子(こ)が、

いやでも

島(しま)多(おお)く

世(よ)　長(なが)く　あります

饒波(ねは)犬子(いんこ)が、　　　　　　　　　　

いやでも

４５９

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は

月(つき)太陽(てだ)の様(よう)に　　　　　　　　　

照(て)り　輝(かがや)きます

夜(よる)は　月(つき)　照(て)る、

昼(ひる)は　太陽(てだ)　照(て)る　　　　　　　　　　　　

月(つき)の様(よう)に

月(つき)は貴(たか)き人(ひと)、　　　　　　　　　　　　　　

国王(てだ)は　世(よ)の主(ぬし)　　　　　　　　　　

月(つき)太陽(てだ)の様(よう)に　　　　　　　　　　　

４６０

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

饒波(ねは)の犬(いん)御祝付(おえつき)は　　　　　　　　　

上下(かみしも)の　人(ひと)治(おさ)める王様(おうさま)　　　　　　　　

聞(きこ)え按(あん)司(じ)大主(おそい)は、

鳴(と)響(よ)む按(あん)司(じ)大主(おそい)は

４６１

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は

照(て)り出(い)でて　あります

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)は、

按司(あんじ)の中(なか)の按司(あんじ)は

４６２

阿(あ)嘉(か)犬子(いんこ)が、　　　　　　　　　　　

上下(かみしも)　鳴(と)響(よ)む　　　　　　　　　　　

尊(とうと)き玉(たま)陵(うどん)　造(つく)り　　　　　　　　　　　　

饒波(ねは)犬子(いんこ)が、　　　　　　　　　　

上下(かみしも)

４６３

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

果報(かほう)国王(てだ)　　　　　　　　　　　　

珍(めずら)しさ

山城按司(やまぐすくあんじ)　　　　　　　　　　　　　

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は、

４６４

阿(あ)嘉(か)の子(こ)が、

船(ふね)　発(た)てば

国(くに)の按司(あんじ)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

十声(とこえ)して　御顔(おかお)　拝(おが)め　　　　　

饒波(ねは)の子(こ)が、

船(ふね)　発(た)てば

４６５

阿(あ)嘉(か)の子(こ)よ、

良(よ)くも　又(また)も

打(う)ち揚(あ)がり　下(くだ)さい

饒波(ねは)の子(こ)よ、

良(よ)くも　又(また)も

４６６

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は

永遠(とわ)に　います　　　　　　　　　　

井戸川(いどがわ)の　有(あ)る限(かぎ)り、　　　　　　　

汲(く)む清(し)水(みず)　有(あ)る限(かぎ)り　　　　　　

石(いし)の命(いのち)とて、

石(いし)は　割(わ)れるもの

金(かね)の命(いのち)とて、　　　　　　　

金(かね)は　欠(か)けるもの

４６７

阿(あ)嘉(か)の子(こ)が、

金(かね)の太陽(てだ)御太刀(みたち)　　　　　　　　

差(さ)されて

世(よ)　守(まも)る　御太刀(みたち)

饒波(ねは)の子(こ)が、

金(かね)の太陽(てだ)御太刀(みたち)　　　　　　　　

４６８

阿(あ)嘉(か)の子(こ)が、

寄(よせ)モリ

左(ひだり)も右(みぎ)も　愛(いと)しく　　　　　　　　　　　　　

４６９

阿(あ)嘉(か)の子(こ)が、　

世(よ)を寄(よ)せる拍子(ひょうし)

打(う)ち揚(あ)がる　拍子(ひょうし)は

世(よ)を　打(う)って　差(さ)し上(あ)げよ

饒波(ねは)の子(こ)が、

世(よ)を寄(よ)せる拍子(ひょうし)

４７０

阿(あ)嘉(か)の子(こ)が、

王様(おうさま)は　こう　あればこそ　　　　　　

御側(おそば)は　寄(よ)ります　　　　　　　　　

饒波(ねは)の子(こ)が、

王様(おうさま)は　　　　　　　　　　　　　　

４７１

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は

今日(きょう)　します　使(つか)い

百度(ももと)の　使(つか)い　　　　　　　　　

沢岻(たくし)の根(ね)国(くに)　　　　　　　　　　

沢岻(たくし)の真(ま)国(くに)　　　　　　　　　　

４７２

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は

謡(うた)う王様(おうさま)　　　　　　　　　　　　　　

沢岻(たくし)の根(ね)国(くに)、

沢岻(たくし)の真(ま)国(くに)

４７３

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

島(しま)世(よ)の　有(あ)る限(かぎ)り　います

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は、

４７４

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は

八千代(やちよ)に　常(とこ)永遠(とわ)に　います　　　　

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

４７５

阿(あ)嘉(か)の御祝付(おえつき)は、

饒波(ねは)の御祝付(おえつき)は

島(しま)世(よ)　揃(そろ)えて　差(さ)し上(あ)げよ

米須(こめす)世(よ)の主(ぬし)の、　　　　　　　　　　　　

まこと世(よ)の主(ぬし)の