巻

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巻１９　知念(ちねん)、佐敷(さしき)、玻(は)名城(なぐすく)おもろ御(おん)さうし

１２８１

佐敷(さしき)意地気按司(いじきあんじ)に、　　

海果(にら)国人(いきよ)は　　　　　　

これこそ　肝望(きものぞ)み領主(てだ)　　　　　　　　

佐敷大国按司(さしきおおくにあんじ)に、

１２８２

佐敷意地気按司(さしきいじきあんじ)の、

世(よ)守(まも)る御(み)モリに

世(よ)添(そ)える国局(くにつぼね)　あります　　　　　　　

佐敷大国按司(さしきおおくにあんじ)の、

１２８３

真声子(まこいし)の　おもろ、　　　　　　

肝(きも)高(だか)の按司(あんじ)様(さま)

報国(ほうくに)　揃(そろ)えて　差(さ)し上(あ)げよ

佐敷意地気按司(さしきいじきあんじ)の、

佐敷大国按司(さしきおおくにあんじ)の、

１２８４

佐(さ)敷金(しきかな)モリに、　　　　　　　

若(わか)清(きよら)が　　　　　　　　　　

競(きそ)い遊(あそ)び　見物(みもの)

北(にし)の金(かな)モリに、　　　　　　　　　　　　　　　　　

真(ま)糸数(いとかず)に　います、　　　　

１２８５

佐(さ)敷金(しきかな)モリに、

綾手(あやて)　打(う)って　踊(おど)れば

精(せの)君(きみ)と　君(きみ)と　　　　　　　

北(にし)の金(かな)モリに、　　　　　　　

上下(かみしも)の　見(み)る眼(め)、

１２８６

佐(さ)敷金(しきかな)モリに、　

精(せの)君(きみ)は　手(て)　摩(す)り　　　　　

大君(おおきみ)こそ　守(まも)ります

北(にし)の金(かな)モリに、　　　　　　　

精(せの)君(きみ)は　手(て)　摩(す)り　　　　　

精(せの)君(きみ)は　誰(だれ)が、

大君(おおきみ)は　いずれが　　　　　　　　　　　　　　　　　

　

１２８７

佐敷(さしき)から、

持(も)てる人(ひと)　来(き)たりて

八千代(やちよ)　白雪(しらゆき)を

尚(おぎ)真(やか)王(もい)に　差(さ)し上(あ)げよ　　　　

根(ね)の国(くに)から

持(も)てる人(ひと)

うりずんが、

若(わか)夏(なつ)が　立(た)てば

１２８８

佐(さ)敷金(しきかな)モリは、

雨(あめ)漏(も)らぬ金(かな)モリ

佐敷(さしき)を　攻(せ)めようと　したる

北(にし)の金(かな)モリに　　　　　　　　　　　　

１２８９

佐敷(さしき)苗代(なわしろ)に、　　　　　　　　

天(てん)御国(みや)から　巣立(すだ)つ水(みず)　　　　

巣立(すだ)つ水(みず)を

尚(おぎ)真(やか)王(もい)に　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　

持(も)てる苗代(なわしろ)、

１２９０

佐敷(さしき)苗代(なわしろ)に、

巣立(すだ)つ物(もの)　真物(まもの)　真玉(まだま)の

取(と)り揚(あ)がる　良(よ)き子(こ)

持(も)てる苗代(なわしろ)に、

１２９１

佐敷(さしき)門口(かどぐち)に、　　　　　　

鬼(おに)鷲(わし)の　　　　　　　　　

羽(はね)撃(う)ちする

北(にし)の門口(かどぐち)に、　　　　　　

１２９２

苗代(なわしろ)の庭(みや)に、　　　　　　

月代(つきしろ)は　手(て)　摩(す)り　　　　

月代(つきしろ)こそ　　　　　　　　　

父(ちち)なる御方(おかた)

守(まも)ります

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

１２９３

与那嶺(よなみね)の大役人(おおやこ)、　　　　

竹垣(たけがき)に　造(つく)り置(お)きて

按司(あんじ)大主(おそい)が

島(しま)討(う)ちする　矢柄(やがら)　　　　　　　　　　

苗代(なわしろ)の大役人(おおやこ)、　　　　　

竹(たけ)

１２９４

与那嶺(よなみね)の大役人(おおやこ)、　　　　

綾(あや)鵯(ひよどり)　遊(あそ)ばして　　　　　

今(いま)からこそ

霊気(れいき)は　勝(まさ)る

苗代(なわしろ)の大役人(おおやこ)、

綾(あや)

１２９５

佐敷(さしき)寄(よ)り上(あ)げのモリに、

島(しま)寄(よ)せる鼓(つづみ)の有(あ)る按(あん)司(じ)

根(ね)国(くに)寄(よ)り上(あ)げのモリに、

１２９６

佐敷(さしき)意地気按司(いじきあんじ)の、

名(な)揚(あ)がり聞(きこ)え按(あん)司(じ)

佐敷大国按司(さしきおおくにあんじ)の、

按司(あんじ)頂(いただ)きの好(この)み、　　　　　　

１２９７

佐敷(さしき)苗代(なわしろ)に、

精(せじ)　有(あ)れば

気比(きくら)べ　したい

持(も)てる苗代(なわしろ)に、

去(さ)れ　去(さ)れ　おとこ等(ら)、

精(せじ)　有(あ)れば

退(の)け　退(の)け　おとこ等(ら)、　　　　

精(せじ)　有(あ)れば　

気比(きくら)べ　したい

１２９８

佐敷(さしき)から、

御捧(みささ)げは　上(のぼ)り　　　　　　　　

八千代(やちよ)　世(よ)の貢(みつぎ)

御神酒(おみき)　抜(ぬ)き上(あ)げよ

後(のち)勝(まさ)る拍子(ひょうし)

打(う)って　差(さ)し上(あ)げよ

根(ね)国(くに)から、　

御捧(みささ)げは　上(のぼ)り

八千代(やちよ)　世(よ)の貢(みつぎ)

御神酒(おみき)

１２９９

佐敷意地気按司(さしきいじきあんじ)、　　　　　　

正(せい)の意地気按司(いじきあんじ)は　　　　　　　

親(おや)　撓(しな)い　　　　　　　　　　　　　　

島討(しまう)ち　勝(まさ)りまして

佐敷大国按司(さしきおおくにあんじ)、

１３００

知名(ちな)　負(ま)けるな、　　　　　　　　

如何(いか)なる人々(ひとびと)　居(い)てか　　　　　　　　　　　

波(なみ)楫(かじ)　せきたてて　漕(こ)がせ　　　　

知名(ちな)　負(ま)けるな、

如何(いか)なる人々(ひとびと)　居(い)て

１３０１

久手(くで)堅(けん)の若(わか)き人(ひと)、　　　　　　　　　

清(きよ)らかな人(ひと)が　　　　　　　　　　　　

世(よ)果報(がほう)　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　　　

久手(くで)堅(けん)の待遣(まちやり)、　　　　　　　　　　　　　

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

１３０２

知念(ちねん)モリグスク、

この世(よ)　勝(まさ)りまして

島(しま)　統(す)べて

按司(あんじ)大主(おそい)に　差(さ)し上(あ)げよ

大国(おおくに)モリグスク、

１３０３

知念(ちねん)モリグスク、

国局(くにつぼね)　　　　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)に　差(さ)し上(あ)げよ

大国(おおくに)モリグスク、

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

１３０４

知念(ちねん)モリグスク、

上(のぼ)り　行(ゆ)けば

按司(あんじ)が　誇(ほこ)りまして　　　　　　　

大国(おおくに)モリグスク、

１３０５

知念(ちねん)モリグスク、

神(かみ)　人々(ひとびと)　揃(そろ)い

君(きみ)　栄(は)え

大国(おおくに)モリグスク、

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

１３０６

知念(ちねん)モリグスク、　

清(きよ)らさ

上下(かみしも)の世(よ)守(まも)る御殿(おどの)

大国(おおくに)モリグスク、

黒鉄(くろかね)の兵(へい)等(ら)、　　　　　　　　　

１３０７

知念(ちねん)モリグスク、

幸(さち)の国(くに)寄(よ)るモリグスク

大国(おおくに)モリグスク、

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

１３０８

知念(ちねん)モリグスク、

月代(つきしろ)は　手(て)　摩(す)り　　　　　　　

成(な)せる人(ひと)が

招(まね)きこそ　待(ま)ちます

大国(おおくに)モリグスク、

１３０９

知念(ちねん)モリ、

大国(おおくに)モリ

浦鳴(うらと)響(よ)む按(あん)司(じ)愛(がな)し　見(み)たる　　　

三郎子(さぶろこ)が、　　　　　　　　　　

嬉子(うれしこ)が　　　　　　　　　　　　

川坂(かわさか)に、　　　　　　　　　　　

前坂(まえさか)に　　　　　　　　　　　　

　　

１３１０

知念(ちねん)モリグスク、

唐(とう)の船(ふね)

多(おお)く寄(よ)るグスク　　　　　　

大国(おおくに)モリグスク、

１３１１

知念(ちねん)モリグスク、

天(あま)御人(みきよ)が

祈(いの)り立(た)て初(はじ)めのグスク

大国(おおくに)モリグスク、

１３１２

知念(ちねん)モリグスク、

神降(かみお)り初(はじ)めのグスク　　　　　

大国(おおくに)モリグスク、

神(かみ)が降(お)り初(はじ)めのグスク

１３１３

知念(ちねん)モリグスク、

見物(みもの)冷入(ひやいり)傘(がさ)　　　　　　　　　

植(おわ)守(もり)に　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　

大国(おおくに)モリグスク、

１３１４

知念(ちねん)集(あつ)め庭(みや)に、　　　　　　　

世(よ)は　寄(よ)り満(み)ちなさい

安座(あざ)間(ま)集(あつ)め庭(みや)に、　　　　　　

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

１３１５

大島(おおしま)押(おし)笠(かさ)が、　　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)み居(い)る上里(うえざと)モリ　見(み)たる　　　　　　　　　　　　

大郡(たきり)押(おし)笠(かさ)が、　　　　　　　　　　　

海果(にる)国(や)照(て)る太陽(てだ)、　　　　　　　　

彼方(かな)国(や)望月(もちづき)、　　　　　　　　　　　

これこそ　浦(うら)原(ばる)、　　　　　　　　　　　　　　

これこそ　天(あま)御人(みきよ)、　　　　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)みます上里(うえざと)

１３１６

久(く)高(だか)集(あつ)め庭(みや)に、　　　　　　　　　　　　

差羽(さはね)由良(ゆら)長(ふさ)よ　　　　　　　　　　　　　

知念(ちねん)が　見遣(みや)り欲(ほ)しさ

肝(きも)は　行(い)きますれば、

心(こころ)は　行(い)きますれば

１３１７

久(く)高集(だかあつ)め庭(みや)に、

奇(くせ)清(きよら)が　　　　　　　　　　　　　　　　

京(きょう)の内(うち)

新崎(あらさき)　畏(おそ)れ　　　　　　　　　　　　　　

外(ほか)間(ま)集(あつ)め庭(みや)に、　　　　　　　　　　　

走(はし)り戸(ど)を　突(つ)き開(あ)けて、

１３１８

聞(きこ)え玻(は)名城(なぐすく)、　　　　　　　　　　　　　　　

板門(いたもん)　きらめかせて

君(きみ)が京(きょう)の内(うち)こそ

こう　ある

鳴(と)響(よ)む玻(は)名城(なぐすく)、

１３１９

聞(きこ)え玻(は)名城(なぐすく)、　　　　　　　　　　　　

差(さす)笠(かさ)は　手(て)　摩(す)り　　　　　　　　　　

君(きみ)が金内(かなうち)こそ　　　　　　　　　　　　　　　　

こう　ある

鳴(と)響(よ)む玻(は)名城(なぐすく)、

１３２０

聞(きこ)え玻(は)名城(なぐすく)、

吾(わ)が父(ちち)こそ　ふさわしい

まさに　思(おも)いて

御幸(みさち)　勝(まさ)りまして　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む玻(は)名城(なぐすく)、

１３２１

聞(きこ)え玻(は)名城(なぐすく)、

煽(あお)り　三(み)つ　立(た)てて

吾(わ)が父(ちち)こそ

島(しま)の主(ぬし)　ふさわしい

鳴(と)響(よ)む玻(は)名城(なぐすく)、

１３２２

聞(きこ)え玻(は)名城(なぐすく)、　

煽(あお)り　多(おお)く　立(た)てて　　　　　　　

神座(かぐら)の京(きょう)の内(うち)こそ

こう　ある

鳴(と)響(よ)む玻(は)名城(なぐすく)、

１３２３

聞(きこ)え差(さす)笠(かさ)が、　　　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む差(さす)笠(かさ)が

綾(あや)鷲(わし)　寄(よ)せる　玻(は)名城(なぐすく)

聞(きこ)え玻(は)名城(なぐすく)、

鳴(と)響(よ)む玻(は)名城(なぐすく)

差(さす)笠(かさ)が、

君(きみ)の按司(あんじ)の　金(こがね)鳥(どり)

屋(や)富(ふ)祖(そ)おとこ等(ら)、　　　　　　　　

おとこ等(ら)に　取(と)らせられ

１３２４

聞(きこ)え玻(は)名城(なぐすく)、

鼓(つづみ)　植(おわ)守(もり)が　　　　　　　　　　　　　

国鳴(くにと)響(よ)み

鳴(と)響(よ)む玻(は)名城(なぐすく)、

１３２５

聞(きこ)え玻(は)名城(なぐすく)、

鳴(と)響(よ)む玻(は)名城(なぐすく)

鼓(つづみ)の按司(あんじ)　国鳴(くにと)響(よ)み

玉(たま)取(とり)に　在(あ)る、　　　　　　　　

浦守(うらまも)り　祈(いの)りて　　　　　　　　　

１３２６

聞(きこ)え玻(は)名城(なぐすく)、

百(もも)倉(くら)　引(ひ)き連(つ)れる

御(み)倉(くら)　造(つく)り

鳴(と)響(よ)む玻(は)名城(なぐすく)、

１３２７

玻(は)名城(なぐすく)只名(ただな)様(さま)、　　　　　　　　　

嘉手久(かでく)按司(あんじ)に　思(おも)われよ　　　　　

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)こそ、

真(ま)民(たみ)　輝(かがや)かせなさい

１３２８

沖縄玻名城按司(おきなわはなぐすくあんじ)の、　　　　　　　

まこと　語(かた)り欲(ほ)しさ

沖縄玻名城按司(おきなわはなぐすくあんじ)、　　　　　　　　　　　　　　　　　

１３２９

玉(たま)取(とり)に　在(あ)る、　　　　　　　　

麗(うるわ)しい花(はな)　折(お)り

浦鳴(うらと)響(よ)む真顔(まちら)主(す)　付(つ)けよ　　　　　　　　　

白(しら)真地(まじ)に　在(あ)る、　　　　　　　

１３３０

玻(は)名城(なぐすく)　います、

御愛(みかな)しの按(あん)司(じ)の　　　　　　　　　

苦(にが)世(よ)　甘(あま)世(よ)　なす　按司(あんじ)　　　　　

国(くに)の根(ね)に　います、

人(ひと)の浦(うら)の苦(にが)世(よ)、

我(わ)が浦(うら)の甘(あま)世(よ)

苦(にが)世(よ)　甘(あま)世(よ)　なす　按司(あんじ)