巻

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巻１４　いろいろの踊(おど)りおもろ御(ぎょ)さうし

９８２

察度(じゃなお)王(もい)は、　　　　　　　　　　　　

誰(だれ)が　生(な)したる子(こ)が

この　清(きよ)らさ

これを　見(み)たいと　居(お)ります

百按司(ももあんじ)の、　　　　　　　　　　　　

待(ま)ちかねたる庫裡(こちゃ)口(ぐち)　　　　　　　　　　　　　　　　

察度(じゃなお)王(もい)こそ　開(あ)けなさい　　　　　　　

察度(じゃなお)王(もい)が、　　　　　　　　　　　　

謝名(じゃな)上原(うえはら)　上(のぼ)り　　　　　　　　　　

蹴上(けあ)げたる露(つゆ)は

露(つゆ)さえも　芳(かんば)しさ　ある　　　　　　　　　　　

９８３

玻名城(ひなぐすく)按司付(あんじつ)きの大役人(おおやこ)、　　　　　　　

花城(はなぐすく)按司付(あんじつ)きの大役人(おおやこ)、　　　　　　　　

一人子(ひとりご)の、

一(ひと)つ種(だね)は　生(な)し置(お)いて

外(そと)辺(あた)りに、　　　　　　　　　　　　　　

内辺(うちあた)りに　生(な)せる　　　　　　　　　　　

初(はつ)刈(か)人(びと)が、　

下(しも)白(しろ)きを　選(えら)び　　　　　　　　　　　　

断(た)ち選(えら)びに、

筋(すじ)選(えら)びに　選(えら)び

二十重(はたえ)織(お)りは、　　　　　　　　　　　　

三十重(みそえ)織(お)りは　為(な)しまして　　　　　　　

玻(は)名城(なぐすく)、　　　　　　　　　　　　　　　

井戸川(いどがわ)に　降(お)りて

綛(かせ)　延(の)べて、　　　　　　　　　　　　　

布(ぬの)　延(の)べて　降(お)りて

思(おも)いがけず、

首里(しゅり)赤(あ)冠部(かべ)　行(ゆ)き合(あ)い　　　　　　　　　

真(ま)民(たみ)等(ら)も、

これを　見(み)たいと　居(お)ります

御役人(おきて)達(たち)も、　　　　　　　　　　　　　　

この　清(きよ)らさ　あります

９８４

兼(かね)城(ぐすく)大地人(おおちきよ)、　　　　　　　　　

思(おも)う愛(いと)しい方(かた)　　　　　　　　　　

兼(かね)城(ぐすく)大地人(おおちきよ)、

大地人(おおちきよ)が　愛(いと)しい子(こ)、　　　　　

清(きよ)き人(ひと)が　愛(いと)しい子(こ)、

九年(くねん)母(ぼ)　取(と)り　佩(は)きまして、　　

蜜柑(みかん)　取(と)り　佩(は)きまして、　　　

９８５

勝連(かつれん)に　います、

君(きみ)志(し)頬垂(ほほだ)れ人(びと)　　　　　　　　　

饒(よ)辺(へん)の頬垂(ほほだ)れ人(びと)　寄(よ)せよ　　

肝(きも)高(だか)に　います、

９８６

知花(ちばな)　います、　　　　　　

目(め)眉(まゆ)清(きよ)らかな按(あん)司(じ)の　　　　　　

知花(ちばな)　います、

歯(は)口(ぐち)清(きよ)らかな按(あん)司(じ)の　　　　　　

御鉢巻(みはちまき)、　　　　　　　　　

手強(てづよ)く　巻(ま)きまして

白掛(しらが)け御衣(ころも)、　　　　　　　　　　

重(かさ)ね御衣(おころも)　しまして

十重(とえ)利(き)き帯(おび)、　　　　　　　

廻(まわ)し　引(ひ)き締(し)めて

大刀(おおかたな)を、　　　　　　　　　

掛(か)け差(さ)し　しまして

腰(こし)刀(かたな)を、　　　　　　　　　

厳(いか)めしく　差(さ)しまして

山羊(やぎ)革(がわ)草履(ぞうり)、　　　　　　　

履(は)きめかし　しまして

馬(うま)曳(ひ)きの、

御馬(おうま)曳(ひ)きの小太郎(こたら)

真(ま)白馬(しろうま)に、

金(こがね)鞍(ぐら)　掛(か)けて　　　　　　　

前鞍(まえぐら)に、

太陽(てだ)の形(かた)　描(えが)いて　　　　　

後(うし)ろ鞍(ぐら)に、

月(つき)の形(かた)　描(えが)いて

９８７

恩納(おんな)は　聞(き)いてみよ、　　　　　

安富(あふ)祖(そ)は　聞(き)いてみよ　　　　　

思(おも)えば　肝痛(きもいた)し

阿和(あわ)の親(おや)の娘(むすめ)、　　　　　　　　

肝(きも)痛(いた)き親(おや)の娘(むすめ)

山(やま)　籠(こ)もり　三月(みつき)、

嶽(たけ)　籠(こ)もり　三月(みつき)

蚊(か)に　刺(さ)されて、

糠(ぬか)蚊(が)に　刺(さ)されて　　　　　　　

９８８

明後日(あさて)は　平良(たいら)の祭(まつり)、　　　　　

鶏(にわとり)を　見(み)せたれば

見(み)て　いらっしゃい

三日(みっか)は　種籾(たねもみ)の拝(おが)み、　　　　　　　　　　　

大和(やまと)の子(こ)等(ら)に　見(み)せたいものを

９８９

北(にし)嶽(だけ)の　桜(さくら)が　咲(さ)く様(よう)に、　　　　　　　　

君(きみ)こそ　撓(しな)い　踊(おど)る　　　　　　　　　　　

東(ひが)嶽(だけ)に　群(む)れ咲(さ)き遣(や)り　咲(さ)く様(よう)に、　　　　

君(きみ)　撓(しな)い　踊(おど)れ　　　　　　　　　　　　

嶽(たけ)愛(がな)し　綾(あや)日笠(ひがさ)　差(さ)しまして、　　　　　　

モリ愛(がな)し　車(くるま)笠(がさ)　差(さ)しまして、　　　　　　　

９９０

請(うけ)の島(しま)の　謡(うた)い、　　　　　　　

離(はな)れ島(じま)の　謡(うた)い、

９９１

東(ひがし)の　真下(ました)に、

桑木(くわぎ)の下(した)　吹(ふ)く鳥(とり)　　　　　　　　

吾(わ)が思(おも)う人(ひと)

声(こえ)　鳴(な)り出(で)て

聞(き)け聞(き)け　肝人(きもびと)　　　　　　　　　　　　　

肝人(きもびと)こそ　聞(き)き取(と)る

太陽(てだ)が穴(あな)の真下(ました)に、

９９２

乙(おつ)樽(だる)は　肝(きも)からこそ、　　　　　　

精付(せじつ)く按(あん)司(じ)大主(おそい)が

御声(みこえ)の　聞(き)こえて　　　　　　　

宜(ぎ)寿(す)次(し)　居(い)てさえも、　　　　　

遠(とお)く　居(い)てさえも

９９３

現世(いけな)の御身(おんみ)清(きよ)き兄弟(きょうだい)、　　　　　

愛(いと)しき　兄弟(きょうだい)

現世(いけな)の丈(たけ)清(きよ)き兄弟(きょうだい)、　　　　　　

兄弟(きょうだい)が　首(しゅ)里親(りおや)国(ぐに)　います時(とき)、

兄弟(きょうだい)が　按司(あんじ)親(おや)国(ぐに)　います時(とき)、

兄弟(きょうだい)が　先頭(せんとう)に　なり、

兄弟(きょうだい)が　御鳥(おとり)に　なり、

９９４

島尻(しまじり)九年(くねん)母(ぼ)、　　　　　　　　　

親(おや)国(ぐに)九年(くねん)母(ぼ)

待(ま)ち焦(こ)がれて

うりずんが　立(た)てば、

若(わか)夏(なつ)が　立(た)てば

待(ま)ち焦(こ)がれて

９９５

米須(こめす)世(よ)の主(ぬし)の、　　　　　　

摩(ま)文(ぶ)仁(に)殿(どの)　通(かよ)い　　　　　　

心(うら)切(ぎ)れて　　　　　　　　　

拝(おが)み　輝(かがや)きます

今日(きょう)は　若(わか)殿内(とのうち)、　　　　　　　　

明日(あした)は　米須(こめす)へと

９９６

勝連(かつれん)　真(ま)美(み)仁屋子(にやこ)は　心通(こころかよ)い、　　　　　　　

中(なか)百名(ひゃくな)　小美(こみ)菜子(なこ)は　心通(こころかよ)い、　　　　　　　

昼(ひる)なれば　心(こころ)　通(かよ)い　行(ゆ)く、

夜(よる)なれば　夢(ゆめ)　通(かよ)い　行(ゆ)く、

西(にし)道(みち)の　謝名(じゃな)道(みち)こそ　行(ゆ)きたいと、　　　　　　

東(ひが)道(みち)の　屋宜(やぎ)道(みち)こそ　行(ゆ)きたいと、　　　　　　

東道(ひがみち)は　屋宜(やぎ)の恋人(こいびと)が　待(ま)ちます、

西道(にしみち)は　謝名(じゃな)の恋人(こいびと)が　待(ま)ちます、

いざ　屋慶名(やけな)中道(なかみち)こそ　行(ゆ)きたいと、　　　　　　　　

９９７

吾(わ)が恋人(こいびと)が、

待(ま)ち焦(こ)がれている

名護(なご)の浦(うら)　　　　　　　　　

唯(ただ)一人(ひとり)　遣(や)るを

思(おも)えば　肝痛(きもいた)し

吾(わ)が恋人(こいびと)が、

住(す)んでいる

喜(き)瀬(せ)の浦(うら)　　　　　　　　　　

９９８

妹(おと)女子(こまい)、　　　　　　　　　　　　

若(わか)女子(こまい)　居(い)ますか　　　　　　　　

汝(な)が屋(や)辺(べ)より、　　　　　　　　　　

居(い)ますのか　兄(あに)なる按司(あんじ)

戸石(といし)　出(で)て入(はい)れ、　　　　　　　　　

脚上(あしあげ)　出(で)て入(はい)れ　妹(いも)なる按司(あんじ)　　　　

何(なに)をか　言(い)う、

居(い)ますか　兄(あに)なる按司(あんじ)

世(よ)言(ごと)　しに、　　　　　　　　　　　

世思(よおも)い　しに　妹(いも)なる按司(あんじ)　　　　　

世(よ)言(ごと)　いいえ、

世思(よおも)い　いいえ　兄(あに)なる按司(あんじ)

島(しま)　貰(もら)え、

国(くに)　貰(もら)え　妹(いも)なる按司(あんじ)

島(しま)も　いいえ

国(くに)も　いいえ　兄(あに)なる按司(あんじ)

海(うみ)幸(さち)　貰(もら)え、

山(やま)幸(さち)　貰(もら)え　妹(いも)なる按司(あんじ)

海(うみ)幸(さち)　いいえ、

山(やま)幸(さち)　いいえ　兄(あに)なる按司(あんじ)

玉(たま)　貰(もら)え、

粒(つぶ)玉(だま)　貰(もら)え　妹(いも)なる按司(あんじ)

従(したが)います、　　　　　　　　　　　　

頂(いただ)きます　兄(あに)なる按司(あんじ)

９９９

左(さ)出(で)次(し)川(がわ)　上(のぼ)り、　　　　　　　　　　

雨(あめ)　降(ふ)らぬ　梅雨(つゆ)の

兄弟(きょうだい)が　御袖端(みそでばな)　濡(ぬ)らして　　　　　　　　　

左(さ)出(で)次(し)川(がわ)　下(くだ)り、　　　　　　　　　　

雨(あめ)　降(ふ)らぬ　梅雨(つゆ)の

１０００

糸(いと)木名(きな)の神女(のろ)の、　　　　　　　

童(わらべ)　草履(ぞうり)　持(も)たせて　　　　　　

按司(あんじ)が嶺(みね)　上(のぼ)り　　　　　　　

神(かみ)の船(ふね)　見(み)れば

兄弟(きょうだい)　穏(おだ)やかなるを

かくも　痛(いた)き思(おも)い

睦月(むつき)　霜降(しもふ)り、　　　　　　　　

二十重(はたえ)織(お)りの袖(そで)花(はな)　　　　　　　

御顔(みかお)　引(ひ)き立(た)てて

神(かみ)が船(ふね)　見(み)れば

１００１

越来(ごえく)モリグスク、　　　　　

越来(ごえく)綾(あや)庭(みや)に

成(な)せる人(ひと)

世(よ)　揃(そろ)いまして

東(ひが)モリグスク、　　　　　　　　　　　　　　

揚(あ)がる綾(あや)庭(みや)に

成(な)せる人(ひと)

１００２

越(ご)来世(えくよ)の主(ぬし)の、　　　　　　　　

古謝(こじゃ)神(がみ)の降(お)りる地(ち)に　　　　　　　　

高倉(たかくら)は　造(つく)り

上下(かみしも)の　見物(みもの)する　御倉(みくら)

揚(あ)がる世(よ)の主(ぬし)の、

１００３

越来(ごえく)モリ親(おや)神女(のろ)、　　　　　　　　

親(おや)神女(のろ)は　持(も)て成(な)して　　　　　

今(いま)からこそ

御酒(おさけ)は　勝(まさ)る

揚(あ)がるモリ親(おや)神女(のろ)、

１００４

知花(ちばな)後(くし)嶽(だけ)に、　　　　　　　　　

玉洗(たまあら)い　洗(あら)い

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に、

勾玉(まがたま)　濯(ゆす)ぎ出(だ)して、　　　　　

宝(たから)　濯(ゆす)ぎ出(だ)して、

１００５

金(かね)グスクおとこ等(ら)、　　　　　　　　

おとこ等(ら)が　使(つか)いこそ

この大島(おおしま)　降(お)ります

「デ」　吾(われ)　遊(あそ)ぶ　神々(かみがみ)

金城(かねぐすく)愛(め)でるおとこ等(ら)、　　　　　　　　

愛(め)でるおとこ等(ら)が　使(つか)いこそ　　　　　　　

１００６

聞(きこ)え中城(なかぐすく)、　　　　　　　　　　　　　　

前(まえ)　見(み)れば　港(みなと)

これこそ　天(あま)御(み)金(かね)グスク　　　　　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む中城(なかぐすく)、　　　　

後(うし)ろ　見(み)れば　わたつ海(うみ)

これこそ　聞(きこ)え中城(なかぐすく)

１００７

聞(きこ)え上里(うえざと)に、　　　　　　　　　　　　　　

降(お)りたきモリに

清(きよ)き天(あめ)久(く)様(さま)　　　　　　　　　　　　　　　

天上(おぼつ)　留(と)まりまして　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む上里(うえざと)に、

降(お)りたきモリに

１００８

小照曲(こてるわ)の親(おや)神女(のろ)、　　　　　　　　　　

天(あま)御国(みや)の神女(のろ)なれば　　　　　　　　　

世(よ)守(まも)る精(せじ)

精(せじ)　勝(まさ)り　遊(あそ)ぶ

鳴(なり)忍(しの)の頭(かしら)神女(のろ)、　　　　　　　　　　

去(しね)行(り)国(や)神女(のろ)なれば　　　　　　　　　　

世(よ)守(まも)る精(せじ)

精(せじ)　勝(まさ)り　遊(あそ)ぶ

１００９

与論(かいふ)島(た)の親(おや)神女(のろ)、　　　　　　　　　　

東(ひがし)に　通(かよ)い

今(いま)からこそ

霊気(いみき)は　勝(まさ)る　　　　　　　　　　　　

金(かな)モリの頭(かしら)神女(のろ)、　　　　　　　　　　

太陽(てだ)が穴(あな)に　通(かよ)い

１０１０

津(つ)堅(けん)伊波(いは)グスク、　　　　　　　　

津(つ)堅(けん)清(せ)夜(や)グスク　　　　　　　　　

あたらしき糸縅(いとおどし)の鎧(よろい)　　　　　　　　　　　　

離(はな)れ伊(い)波(は)グスク、

離(はな)れ清(せ)夜(や)グスク

１０１１

清(きよ)き鈴鳴(すずなり)が、　　　　　　　　　　　　　

美(うつく)しき舞(ま)い　していますが

吾(わ)が父(ちち)と

御声(みこえ)　合(あ)わせたく

見物鈴鳴(みものすずなり)が、

見物(みもの)舞(ま)いを　していますが

吾(わ)が父(ちち)と

美(うつく)しき声(ごえ)　合(あ)わせたく

１０１２

佐敷(さしき)親(おや)樋川(ひかわ)、　　　　　　　　　　　

堰(せき)　積(つ)みましてからは　　　　　　　

今(いま)からこそ

御肝(おきも)精(せじ)　勝(まさ)る

根(ね)国(くに)親(おや)樋川(ひかわ)、　　　　　　　　　　　

１０１３

佐敷(さしき)意地気按司(いじきあんじ)の、　　　　　　　　

まことの男(おとこ)

百(もも)島(しま)　討(う)って

掛(か)けて　栄(は)えなさい

佐敷大国按司(さしきおおくにあんじ)の、

１０１４

佐(さ)敷金(しきかな)モリは、　　　　　　　　　

按司(あんじ)の巣立(すだ)つ親(おや)国(ぐに)

佐敷(さしき)よ

踏(ふ)み揚(あ)がり　ください

北(にし)の金(かな)モリは、　　　　　　　　　　　　　　　　　

１０１５

佐敷(さしき)　います　思(おも)い子(ご)、

真(ま)民(たみ)　選(えら)び　寄(よ)せて

神座(かぐら)の　藤(ふじ)冠(かんむり)　佩(は)きまして　　　　　　

根(ね)国(くに)　います　思(おも)い子(ご)、

１０１６

苗代(なわしろ)の門(もん)に、　　　　　　　　　　　

幸人(さちびと)こそ　待(ま)ちなさい　　　　　　　　

金杯(こがねさかずき)　　　　　　　　　　　　　　　

据(す)え並(なら)べ　待(ま)ちて

根(ね)国(くに)苗代(なわしろ)に、　　　　　　　　　　　

１０１７

佐(さ)敷金(しきかな)モリに、

植(おわ)守(もり)は　遊(あそ)ばして　　　　　　　　　

金(こがね)が　きらめく　　　　　　　　

清(きよ)らさ

根(ね)国(くに)金(かな)モリに、

１０１８

手(て)登(ど)根(こん)の大役人(おおやこ)、　　　　　　　　　

唐(とう)の道(みち)　開(あ)けられて

手(て)登(ど)根(こん)こそ

日本内(にほんうち)に　鳴(と)響(よ)め

手(て)登(ど)根(こん)の里(さと)主(ぬし)、　　　　　　　　　　　　　　　

１０１９

平田(ひらた)御宣人(みぜりきよ)が、　　　　　　　　　　

事直(ことなお)し　降(お)りられて

斎場(さいば)の澄(す)む清(し)水(みず)　造(つく)り　　　　　　

平田御宣人(ひらたみぜりきよ)が、

事直(ことなお)し　降(お)りられて

斎場(さいば)の梯梧(でいご)並木(なみき)　造(つく)り　　　　　　　　　

１０２０

知念(ちねん)モリグスク、　　　　　　　　

東(ひがし)のグスク

按司(あんじ)大主(おそい)が　　　　　　　　　　

思(おも)い揚(あ)がる城(しろ)

大国(おおくに)モリグスク、

太陽(てだ)が穴(あな)のグスク　　　　　　　

１０２１

久手(くで)堅(けん)の待遣人(まちやりきよ)、　　　　　　　　　　　　　　　　　

赤(あか)き刀(かたな)　造(つく)り

按司(あんじ)大主(おそい)が

王(おう)の差(さ)す御刀(みかたな)　　　　　　　　　　　　

揚(あ)がる島(しま)の大役人(おおやこ)、　　　　　　　　　　

赤(あか)き刀(かたな)　造(つく)り

１０２２

天(あま)御国(みや)から　鳴(と)響(よ)みます、　　　　　

知念(ちねん)モリグスク　　　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)が

思(おも)い揚(あ)がるグスク

去(しね)行(り)国(や)から　鳴(と)響(よ)みます、　　　　　

大国(おおくに)モリグスク　　　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)が

思(おも)い揚(あ)がるグスク

１０２３

天(あま)御国(みや)から　真(ま)細工(さいく)、　　　　　　　

知念(ちねん)モリグスク　造(つく)り

造(つく)り遣(や)り

按司(あんじ)大主(おそい)　差(さ)し上(あ)げよ

去(しね)行(り)国(や)から　真(ま)細工(さいく)、　　　　　　　

大国(おおくに)モリ　造(つく)り

１０２４

屋(や)嘉(か)の大浜(おおはま)に、　　　　　　　

屋(や)嘉(か)の長浜(ながはま)に　　　　　　　　

天降(ており)り年(どし)　天降(てお)り　　　　　　

屋(や)嘉(か)の老(お)い人(びと)、　　　　　　　　　　

屋(や)嘉(か)の本(もと)の人(ひと)　　　　　　　　　　　　

天降(てお)り年(どし)　天降(てお)り

１０２５

阿(あ)嘉(か)犬(いん)の御(お)祝付(えつき)は、　　　　　　　　

饒波(ねは)の御(お)祝付(えつき)は　　　　　　　　　　

国(くに)の頂(いただ)き　見(み)て　羨(うらや)み　　　　　　　

今帰仁(なきじん)　上(のぼ)り、

鳴(と)響(よ)む国(くに)　上(のぼ)り

御神酒(おみき)　出(だ)し　持(も)ち行(ゆ)こう、

御酒(おさけ)　出(だ)し　持(も)ち行(ゆ)こう

１０２６

聞(きこ)え金丸(かなまる)が、　　　　　　　　　　　　　

思(おも)い子(ご)の君(きみ)が　遊(あそ)べば

見(み)たいと思(おも)い

鳴(と)響(よ)む金丸(かなまる)が、

姉妹(おなり)神(がみ)の　遊(あそ)べば　　　　　　　　　　

１０２７

勢(せ)理客(りきゃく)の神女(のろ)の、　　　　　　　

明忍(あけしの)の神女(のろ)の　　　　　　　　　

夕立(ゆうだち)　降(お)ろして

鎧(よろい)　濡(ぬ)らして

運天(うんてん)　着(つ)けて、　　　　　　　

小港(こみなと)　着(つ)けて　　　　　　　　　

嘉津宇(かつう)岳(だけ)　下(さ)がる、　　　　　　

夕立(ゆうだち)　降(お)ろして

鎧(よろい)　濡(ぬ)らして

大和(やまと)の軍(いくさ)、　　　　　　　　　　　　　　

山城(やしろ)の軍(いくさ)

１０２８

内間(うちま)沖縄(おきなわ)　いまして、　　　　　

神(かみ)神(がみ)　使(つか)い

名(な)高沖縄(だかおきなわ)、

１０２９

聞(きこ)え大(おお)神(の)女(ろ)子(こ)、　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む大神(おお)女子(のろこ)

天(あま)御人(みきよ)が　　　　　　　　　

初(はじ)めこそ　きらめき

大国(おおくに)世(よ)　取(と)ろう、　　　　　

大島(おおしま)世(よ)　取(と)ろう　　　　　　

侍(さむらい)　行(い)って　治(おさ)める、

兵士(へいし)　行(い)って　治(おさ)める

神女(のろ)さえも　畏(おそ)れて、　　　

主(ぬし)さえも　畏(おそ)れて、

１０３０

東(ひがし)の大主(おおぬし)、　　　　　　　　　　　

精(せい)勝(まさり)　造(つく)り

造(つく)りまして

十百(ともも)末(すえ)　あります　　　　　

聞(きこ)え国治人(くにせりきよ)、　　　　　　　　　

精(せい)勝(まさり)　造(つく)り

太陽(てだ)の穴(あな)の大主(おおぬし)、

精(せい)勝(まさり)　造(つく)り

太陽(てだ)が穴(あな)の大主(おおぬし)、　　　　　

世(よ)守(まも)る精(せじ)

１０３１

桑江(くわえ)に　居(い)てさえも、　　　

押上(おしあげ)　居(い)てさえも　　　　　

安谷屋(あだにや)の踊(おど)り　　　　　　　

珍(めずら)しき踊(おど)り　見(み)たい　　　　　

横(よこ)嶽(だけ)の　まさに、　　　　　

前嶽(まえだけ)の　まさに　　　　　　

１０３２

具志川(ぐしかわ)に　います、　　　　

天徳(あまとく)按司(あんじ)の長(おさ)は　　　　　　

按司(あんじ)の頭(かしら)　　　　　　　　　

親(おや)国(ぐに)　います、

月(つき)　四日(よっか)　立(た)てば

踊(おど)り遊(あそ)び　習(なら)い

１０３３

平良(たいら)勝人(まさりきよ)が、　　　　　　　　

阿(あ)嘉(か)の崖(がけ)　来(き)まして　　　　　　

１０３４

喜屋武(きゃん)モリおとこ等(ら)、　　　　　　　　

おとこ等(ら)が　造(つく)りたる真(ま)庭(みや)

遊(あそ)び遊(あそ)べ　妻女(やちよこ)　　　　　　　　　　　　　　

喜屋武(きゃん)モリの中(なか)モリ、

造(つく)りたる真庭(まみや)に

１０３５

上江洲(うえず)鳴(と)響(よ)む国(くに)、　　　　　　　

真(ま)神酒(みき)は　泉(いずみ)こそ　します

上江(うえ)洲(ず)大川(おおかわ)は、　　　　　　　　

御酒(おさけ)は

１０３６

宇(う)堅(けん)白(しら)殿(どの)の娘(むすめ)、　　　　　　　　　　

「エケ　ハイヨウ　コワイ」

おかしく　勾玉(まがたま)を　嵌(は)めて、　　　　　　　　

「エケ　ハイヨウ　コワイ」

１０３７

与那原(よなばる)御役人(おきて)、　　　　　

知(し)られ鳴(と)響(よ)む主(ぬし)

拝(おが)めば　勝(まさ)り

見(み)れば　愛(いと)しい

島中(しまなか)御役人(おきて)、　　　　　　

目(み)取(れつ)真(な)御役人(おきて)　　　　　　　

稲(いな)国(ぐに)に　使(つか)い、　　　　　

稲嶺(いなみね)に　使(つか)い　　　　　　

１０３８

聞(きこ)え読谷山(よみたんざん)、　　　　　　　　　

按司(あんじ)　選(えら)びこそ

待(ま)ちます

思(おも)い子(ご)こそ

掛(か)けて　栄(は)えなさい

鳴(と)響(よ)む読(よみ)谷山(たんざん)、

１０３９

聞(きこ)え読(よみ)谷山(たんざん)、　　　　　　　　　　

銅(あかがね)の世直(よなおし)椀(わん)　　　　　　　　　　　

中(なか)　盛(も)らせて

按司(あんじ)大主(おそい)に　差(さ)し上げよ

鳴(と)響(よ)む読(よみ)谷山(たんざん)、

銅(あかがね)の世直(よなおし)椀(わん)

１０４０

辺留(へる)の椰子(やし)の子、　　　　　　　　

命(いのち)　懐(ふところ)に　　　　　　　　　　　

照(てる)真物(まもの)　照(て)ります　　　　　

喜納(きな)大庭(おおみや)に、　　　　　　　

喜納(きのう)門口(かどくち)に

１０４１

照(てる)日(し)神(の)の真庭(まみや)に、　　　　　

清(きよ)き神女(のろ)　手(て)　摩(す)り　　　　　　

世(よ)の貢(みつぎ)

尚(おぎ)真(やか)王(もい)に　差(さ)し上(あ)げよ　　　　

尊(そん)敦(とん)真庭(まみや)に、　　　　　　　

清(きよ)き主(ぬし)　手(て)　摩(す)り

１０４２

与那城(よなぐすく)大役人(おおやこ)、　　　　　　

浦(うら)大主(おそい)の　鳴(と)響(よ)み　　　　　

後勝(のちまさ)り按(あん)司(じ)に　思(おも)われて

嶽側(たけそば)の大役人(おおやこ)、

　　　　　　

１０４３

聞(きこ)え国(くに)直(なおり)、　　　　　　　　　　　　　

入(はい)り　水(みず)　乞(こ)えば

水(みず)は　無(な)く

真(ま)神酒(みき)　出(だ)して　真(ま)国(くに)

鳴(と)響(よ)む国(くに)直(なおり)、

１０４４

御嶽(おたけ)　見(み)揚(あ)げる聖地(てら)に、　　　　　

誰(だれ)が　弦(げん)　鳴(な)らす　　　　　　　　　　

命(いのち)尊(とうと)き家(いえ)　八千代(やちよ)

東(ひがし)の小坂(こさか)に、

精(せじ)の