巻

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巻２　首里(しゅり)王府(おうふ)の御(おん)さうし

４２

聞(きこ)え中城(なかぐすく)、　　　　　　　　　　　　　　　　　　

東(ひがし)に　向(む)かい

城(しろ)の門(もん)　立(た)て直(なお)して

大国(おおくに)　守(まも)る　中城(なかぐすく)

鳴(と)響(よ)む中城(なかぐすく)、　　　　　　　　　　　　　　

太陽(てだ)の穴(あな)に　向(む)かい　　　　　　　　　　　

４３

聞(きこ)え中城(なかぐすく)、

おもろくさり　降(お)ろして

降(お)ろして　世(よ)を変(か)えて

鳴(と)響(よ)む中城(なかぐすく)、

４４

聞(きこ)え中城(なかぐすく)、

清(きよ)き良(よ)き男(おとこ)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

神(の)女(ろ)の子(こ)　集(あつ)めて　　　　　　　　　　　　　

名(な)を揚(あ)げられて

鳴(と)響(よ)む中城(なかぐすく)、

４５

聞(きこ)え中城(なかぐすく)、

むかし　ひきよせて

今(いま)は　攻(せ)めて　討(う)とう

中城(なかぐすく)

鳴(と)響(よ)む中城(なかぐすく)、

４６

聞(きこ)え中城(なかぐすく)、

月(つき)ごとに　夏(なつ)の様(よう)に

喜(よろこ)び　輝(かがや)きなさい

鳴(と)響(よ)む中城(なかぐすく)、

４７

聞(きこ)え中城(なかぐすく)、

上(かみ)の按司(あんじ)達(たち)の　　　　　　　　　　　　　

思(おも)い　考(かんが)えて　来(く)れば　　　

石(いし)と　金(かね)と　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

合(あ)わしては　戻(もど)せ

鳴(と)響(よ)む中城(なかぐすく)、

４８

聞(きこ)え中城(なかぐすく)、

玉(たま)の三(み)勾玉(まがたま)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

廻(まわ)して　持(も)ち　　　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)に　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む中城(なかぐすく)、

４９

聞(きこ)え中城(なかぐすく)、

泉(いずみ)清水(しみず)　出(だ)させて　　　　　　　　　　　

上下(かみしも)の　役人(やくにん)の　　　　　　　　　　　　　

見(み)ては　羨(うらや)んでいる　　　　　　　　　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む中城(なかぐすく)、

５０

橋(はし)狩(かり)の　おもろ、　　　　　　　　　　　

玉(たま)を　揃(そろ)えられて

望月(もちづき)　遊(あそ)ばす　清(きよ)らさ

橋(はし)狩(かり)の　祝詞(せるむ)、　　　　　　　　　　　　　　　　

５１

聞(きこ)え中城(なかぐすく)、

玉(たま)の君(きみ)　手(て)　摩(す)り　　　　　　　　　　　　　　　

雪家(ゆきや)神女(のろ)こそ　　　　　　　　　　　　　　

おもろ音(ね)を　取(と)りなさい

鳴(と)響(よ)む中城(なかぐすく)、

５２

中城(なかぐすく)　在(あ)る、

浦鳴(うらと)響(よ)む鼓(つづみ)　　　　　　　　　　　　　　

打(う)って　鳴(な)り揚(あ)がらせよ

鳴(と)響(よ)む国(くに)　在(あ)る、

５３

中城(なかぐすく)　御国(みくに)、　　　　　　　　　　　　　　　　　　

御国(みくに)　在(あ)る　隼(はやぶさ)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

徳(とく)　奄(あま)美(み)

掛(か)けて　引(ひ)き寄(よ)せよ

鳴(と)響(よ)む　国(くに)の根(ね)、

国(くに)の根(ね)に　在(あ)る　隼(はやぶさ)

５４

聞(きこ)え中城(なかぐすく)、

鳴(と)響(よ)む中城(なかぐすく)

按司(あんじ)たちが　宝(たから)

中城(なかぐすく)　寄(よ)せよ

聞(きこ)え色(いろ)道(みち)が、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む色(いろ)道(みち)が　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

うりずん（降り旬）が　立(た)てば、

若(わか)夏(なつ)が　立(た)てば

５５

雪家(ゆきや)神女(のろ)の、　　　　　　　　　　　　　　　

気速(けばや)神女(のろ)の　　　　　　　　　　　　　　　　

廻(まわ)して　持(も)ち来(き)たる

名(な)高(だか)剣、　　　　　　　　　　　　　　　　　

押(お)し上(あ)げ剣(つるぎ)、

中城(なかぐすく)守(まも)るモリに

　　　　　　　　　　　　　　

５６

天(あま)御国(みや)　雪家(ゆきや)神女(のろ)の、　　　　　　　　　　

「エケ　ヤレ　エケ」

去人(しねり)国(や)　雪家(ゆきや)神女(のろ)の、　　　　　　　　　　

御前(みまえ)　輝(かがや)かせよ、　　　　　　　　　　　　　

御前(みまえ)　輝(かがや)かせよ、

５７

屋宜(やぎ)の金(かな)モリに、　　　　　　　　　　　　　

人々(ひとびと)の　拍子(ひょうし)　打(う)てば

君(きみ)も　踊(おど)れ

比嘉(ひが)の　金(かな)モリに、　　　　　　　　　　　　

５８

屋宜(やぎ)の金(かな)モリに、　　　　　　　　　　　　　

明加奈(あけがな)志(し)　手(て)　摩(す)り　　　　　　　　　　　

世(よ)に勝(まさ)る　神々(かみがみ)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

誇(ほこ)りまして

比嘉(ひが)の金(かな)モリに、　

５９

屋宜(やぎ)の　金(かな)モリに、

見物(みもの)屏風(びょうぶ)　降(お)ろして　　　　　　　　　　　　

上下(かみしも)の　見物(みもの)する　清(きよ)らさ　　　　　　　　　

比嘉(ひが)の　金(かね)モリに、

６０

屋宜(やぎ)から　上(のぼ)る、　　　　　　　　　　　　　　　　　　

直垂(ひたたれ)や　鎧(よろい)　　　　　　　　　　　　　　　

誰(だれ)が　着(き)れば　似合(にあ)う

按司(あんじ)大主(おそい)太陽(てだ)が　　　　　　　　　　　　　

召(め)しませば　似合(にあ)う

比嘉(ひが)から　上(のぼ)る、

６１

中城(なかぐすく)吉(よし)の浦(うら)、　　　　　　　　　　　　　　

吉(よし)の浦(うら)の　美(うつく)しさ　　　　　　　　　　　　

今日(きょう)から　しばしば　見(み)たい

屋宜(やぎ)の浦(うら)の　吉(よし)の浦(うら)の、　　　　　　　　　

６２

新垣(あらかき)の根(ね)高(だか)モリグスク、　　　　　　　　　　

太陽(てだ)が　栄(は)えられるグスク　　　　　　　　　

頂(いただ)きの根(ね)高(だか)モリグスク、　

６３

新垣(あらかき)の国(くに)の根(ね)に、

今日(きょう)　居(い)ます　使(つか)い

尊(とうと)き　使(つか)い

頂(いただ)きの　島(しま)の根(ね)に、

６４

太陽(てだ)の王(おう)の　おもろ、　　　　　　　　　　

按司(あんじ)の王(おう)の　祝詞(せるむ)　　　　　　　　　　　　

後(のち)も　今(いま)も　あります

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

６５

安谷屋(あだにや)の若松(わかまつ)、　　　　　　　　　　　　　

美(うつく)しい若松(わかまつ)

枝差(えださ)して　浦(うら)守(まも)る　若松(わかまつ)

心(こころ)うるわしい若松(わかまつ)、

６６

安谷屋(あだにや)も　知(し)られる、　　　　　　　　　　

心内(こころうち)　知(し)られる

この戦(いくさ)精(せじ)　遣(や)り　戻(もど)せ　　　　　　　　　　　　

鬼(おに)の君(きみ)　知(し)られる、

寄来(よらせ)君(きみ)　知(し)られる　　　　　　　　　　　　

与那覇(よなは)氏(し)が、　　　　　　　　　　　　　　

人思(へともい)が　刀(かたな)　差(さ)し　　　　　　　　　　　　

６７

聞(きこ)え鬼(おに)の君(きみ)、

安谷屋(あだにや)のモリに

上下(かみしも)の　人(ひと)たち　　　　　　　　　　　

揃(そろ)えられ

鳴(と)響(よ)む鬼(おに)の君(きみ)、

心(こころ)清(きよ)きモリに

６８

安谷屋(あだにや)の心(こころ)清(きよ)きモリに、

世(よ)の幸(さち)　寄(よ)せ来(く)る　按司(あんじ)

グスクと　按司(あんじ)と　共(とも)に、

按司(あんじ)と　村人(むらびと)と　共(とも)に

６９

安谷屋(あだにや)は　根(ね)と　なり、

鬼(おに)の君(きみ)　手(て)　摩(す)り

世(よ)行(ゆ)く精(せじ)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

廻(まわ)して　持(も)ち　差(さ)し上(あ)げよ

肝(きも)清(きよ)き人(ひと)は　根(ね)となり、

寄来(よらせ)君(きみ)　手(て)　摩(す)り　　　　　　　　　　　

７０

安谷屋(あだにや)の泉(いずみ)清水(しみず)、　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)達(たち)の　羨(うらや)む　清水(しみず)　　　　　　　　　　　　　　

心(こころ)清(きよ)き泉(いずみ)清水(しみず)、

７１

越来(ごえく)モリグスク、　　　　　　　　　　　　

招(まね)きの綱(つな)　妻人(つまびと)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

百(もも)浦(うら)　守(まも)る　拍子(ひょうし)　　　　　　　　　　　

打(う)って　差(さ)し上(あ)げよ

揚(あ)がる　モリグスク、

遣(やり)笠(かさ)の親(おや)神女(のろ)、　　　　　　　　　　　　

７２

越来(ごえく)綾(あや)の庭(みや)に、　　　　　　　　　　　　

持(も)て成(な)したる　生(い)き生(い)きしさ

清(きよ)き玉(たま)の縄(なわ)

貫(つらぬ)いた様(よう)に、

越来(ごえく)稀(まれ)の庭(みや)に、　　　　　　　　　　　　　

７３

越来(ごえく)モリグスク、　　　　　　　　　　　　

御庭上(おみやうえ)　見(み)られ　　　　　　　　　　　　　　

揚(あ)がるモリグスク、

７４

越来(ごえく)照(て)る郭(くるわ)、　　　　　　　　　　　　　　　　　

命(いのち)伴(とも)大主(おそい)は　　　　　　　　　　　　　　

天(あま)御人(みきよ)が　成(な)したる　グスク　　　　　　

見物(みもの)照(て)る郭(くるわ)、　　　　　　　　　　　　　　

７５

越来(ごえく)綾(あや)の庭(みや)に、　　　　　　　　　　　　　　

蜜柑(みかん)木(ぎ)を　植(う)えて　　　　　　　　　　　

蜜柑(みかん)木(ぎ)の下(した)

君(きみ)の按(あん)司(じ)の

踊(おど)られる　清(きよ)らさ

越来(ごえく)稀(まれ)の庭(みや)に、　　　　　　　　　　　　　

７６

越来(ごえく)照(て)る郭(くるわ)、　　　　　　　　　　　　

命(いのち)伴(とも)大主(おそい)は　　　　　　　　　　　　　　

命(いのち)神(かみ)殿(どの)に　使(つか)い　　　　　　　　　　　　

遣(やり)笠(かさ)の　親(おや)神女(のろ)、　　　　　　　　　　　

７７

越来(ごえく)照(て)る郭(くるわ)、　　　　　　　　　　　　　　

頂(いただ)きに　獅子(しし)　踊(おど)り

遣(やり)笠(かさ)の　親(おや)神女(のろ)、　　　　　　　　　　　

７８

越(ごえ)来世(くよ)の主(ぬし)の、

尚(ま)泰(た)久(ら)王(もい)　生(な)されて　　　　　　　　　

これこそ　幸(さち)の按(あん)司(じ)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

越来(ごえく)の　有(あ)る限(かぎ)り　あります

揚(あ)がる世(よ)の主(ぬし)の、

７９

越(ごえ)来世(くよ)の主(ぬし)の、　　　　　　　　　　　　

鷲(わし)の嶺(みね)　来(こ)られて

今(いま)からは　越(ごえ)来(く)は

良(よ)き気(き)は　勝(まさ)る

揚(あ)がる世(よ)の主(ぬし)、

古謝(こじゃ)坂(さか)　来(こ)られて　　　　　　　　　　　

８０

越(ごえ)来世(くよ)の主(ぬし)の、　　　　　　　　　　　　

鷲(わし)の嶺(みね)　来(こ)られて

東(ひがし)の海(うみ)　見(み)れば

白波(しらなみ)が　金屑(かなくず)　襲(おそ)う様(よう)に　　　　　　　　　　　　　　

揚(あ)がる世(よ)の主(ぬし)の、　

８１

越(ごえ)来世(くよ)の主(ぬし)の、

若司(わかつかさ)　照(てる)日(ひ)斧加那(おのかな)は

貢(みつぎ)は　寄(よ)り来(く)る

揚(あ)がる世(よ)の主(ぬし)の、

８２

越(ごえ)来世(くよ)の主(ぬし)の、　　　　　　　　　　　　　

鼓(つづみ)の按(あん)司(じ)鳴加那(なりがな)志(し)　　　　　　　　　　　　

幸(さち)の国(くに)　打(う)ち寄(よ)せよ

揚(あ)がる世(よ)の主(ぬし)の、

８３

吾(わ)が　助(たす)け人(びと)、

吾(わ)が　力添(ちからぞ)え

越来(ごえく)の按(あん)司(じ)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

頼(たの)みは　来(き)た

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

なだらかに　走(はし)れ、

坂坂(さかざか)は　這(は)って

８４

越来(ごえく)モリ　見上(みあ)げれば、

吾(わ)が父(ちち)が　居(い)まして

きらめいて

これが　来(き)たる　清(きよ)らさ

揚(あ)がるモリ　見(み)揚(あ)げれば、

８５

知花(ちばな)金(かな)グスク、　　　　　　　　　　　　　　

知花(ちばな)石(いし)グスク　　　　　　　　　　　　　　　

百島(ももしま)　共(とも)に　石(いし)グスク　　　　　　　　　　

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日に

８６

知花(ちばな)後(くし)嶽(だけ)に、　　　　　　　　　　　　　

吾(われ)は　神(かみ)に　手(て)を摩(す)る

神(かみ)は　吾(われ)を　守(まも)れ

知花(ちばな)北(にし)嶽(だけ)に、　　　　　　　　　　　　　

８７

池原(いけはら)の按(あん)司(じ)は、　　　　　　　　　　　　

平田(ひらた)　留(とどま)まられて　　　　　　　　　　　

穂積(ほつむ)モリ　見(み)揚(あ)げれば　　　　　　　　　　　　

心(こころ)を掛(か)け　世(よ)は栄(さか)えて　ください

国(くに)の根(ね)の按(あん)司(じ)の、