巻

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巻７　南風(はい)のおもろ御(おん)さうし

３４５

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、　　　　　　　　　　　　　　　　

首里(しゅり)モリ　初(はじ)めに

国王(てだ)が仰(おお)せ　按司(あんじ)大主(おそい)　　　　　　　　　　　

太陽(てるか)神(わ)と　相手(あいて)となり　います　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む精(せ)高子(だかこ)が、

真玉(まだま)モリ　初(はじ)めに

一(いち)の仰(おお)せ　貴(たか)き人(ひと)

国(くに)直(なお)す按(あん)司(じ)大主(おおぬし)、

寄(より)満倉(みちえ)は　造(つく)り　　　　　　　　　　　　　

君(きみ)君(ぎみ)は　手(て)　摩(す)り

島(しま)直(なお)す　按司(あんじ)大主(おそい)、

精寄(せじよせ)を　造(つく)り　　　　　　　　　　　　　

主(ぬし)主(ぬし)は　手(て)　摩(す)り

太陽(てる)神(かわ)が　国鳴(くにと)響(よ)む、　　　　　　　　　　　　

精(せじ)新(あら)の御(み)内(うち)　世(よ)添(そ)うて　　　　　　　　　　　

肝(きも)　栄(は)えて　降(お)りられて

照(てる)日(し)神(の)が　国鳴(くにと)響(よ)む、

京(きょう)の御内(みうち)　世(よ)　添(そ)うて

肝(きも)　栄(は)えて　降(お)りられて

おとこ　祈(いの)られて、

君(きみ)に　守(まも)られて

世(よ)の仰(おお)せ　勝(まさ)り

御島(みしま)　拝(おが)まれて、

主(ぬし)に　守(まも)られて

御肝(おきも)精(せじ)　勝(まさ)り　　　　　　　　　　　　　　　

太陽(てる)神(かわ)が　照(て)る下(もと)に、　　　　　　　　　　　

肝(きも)　一(ひと)つ　揃(そろ)えて

掛(か)け添(そ)えた　清(きよ)らさ

３４６

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、

知念(ちねん)モリグスク　　　　　　　　　　　

掛(か)けて　栄(は)えられ

神(かみ)の地(ち)に　あり

雲子(くもこ)石(いし)　手(て)　摩(す)り　　　　　　　　　　

尚(おぎ)真(やか)王(もい)に　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む精(せ)高子(だかこ)が、

聞(きこ)え按(あん)司(じ)大主(おそい)が、

知念(ちねん)モリ　清(きよ)らさ　　　　　　　　　　　

モリグスク　聖(せい)なる場(ば)に　います　　　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む按(あん)司(じ)大主(おそい)が、

国(くに)モリ　清(きよ)らさ　　　　　　　　　　　

モリグスク　聖(せい)なる場(ば)に　います　　　　　　　　　　　

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、

浅川(あさがわ)に　いまして　　　　　　　　　

御清水(みしみず)を　召(め)されて　　　　　　　　　　

京(きょう)の内(うち)に　あり

首(くび)玉(だま)を　手(て)に持(も)ち　　　　　　　　　　

聞(きこ)え按(あん)司(じ)大主(おそい)が、

浅川(あさがわ)に　いまして

御清水(みしみず)を　召(め)されて

美(うつく)しき清(きよ)き大(おお)神女(のろ)、　　　　　　　　　　　　　　　

御城内(おしろうち)の　きらめき

３４７

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、

清(きよ)き菊(きく)嶽(だけ)に　　　　　　　　　　　　　　　　　

上(のぼ)り　来(き)まして　いまして

国王(てだ)　太陽(てる)神(かわ)と　　　　　　　　　　　

十声(とこえ)　遣(や)り交(か)わして　　　　　　　　　

首里(しゅり)モリ　います

吾(わ)が貴(たか)き御(お)方(かた)

守(まも)り　守(まも)られて

鳴(と)響(よ)む精(せ)高子(だかこ)が、

３４８

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、

天上(おぼつ)嶽(だけ)　いて　　　　　　　　　　

清(きよ)き御水(みみず)を　　　　　　　　　　　　　　

神(かみ)が肝(きも)なれば

おとこ島(じま)　降(お)ろして

愛(め)でたき水(みず)　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む精(せ)高子(だかこ)が、

３４９

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、

降(うり)旬(ずん)が　立(た)てば

斎場(せーふぁ)嶽(だけ)　遣(や)り戸(ど)　　　　　　　　　　　　　　

押(お)し開(あ)けよ　門(もん)番(ばん)

玉(たま)簾(すだれ)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

巻(ま)き上(あ)げよ　新人(しんじん)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む精(せ)高子(だかこ)が、

若(わか)夏(なつ)が　立(た)てば

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、

初(はつ)北風(にし)が　押(お)し出(で)れば　　　　　　　　　　　

斎場(せーふぁ)嶽(だけ)　遣(や)り戸(ど)　　　　　　　　　　　　　　

押(お)し閉(し)めよ　門(もん)番(ばん)

鳴(と)響(よ)む精(せ)高子(だかこ)が、

新(にい)北風(にし)が　押(お)し出(で)れば　　　　　　　　　　　

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、

降(うり)旬(ずん)が　立(た)てば

白衣(しらそ)御衣(みそ)　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む精(せ)高子(だかこ)が、

初北風(はつにし)が　立(た)てば　　　　　　　　　　　　　

３５０

聞(きこ)え精(せじ)新(あら)君(ぎみ)、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

東(ひがし)に　鳴(と)響(よ)む

菊(きく)柳(やなぎ)嶽(だけ)から　　　　　　　　　　　　　　　　

上(あ)がり　来(き)ます　月(つき)こそ

首里(しゅり)モリ　います

吾(わ)が貴(たか)き王様(おうさま)こそ

まこと　神(かみ)現(あらわ)れて

鳴(と)響(よ)む精(せじ)新(あら)君(ぎみ)、　　　　　　　　　　　　　　　　　　

３５１

大君(おおきみ)を　崇(あが)めて、

世誇(よほこり)を　造(つく)り　　　　　　　　　　　　　

天(てん)が下(した)　縄(なわ)　掛(か)けて　います　　　　　　

国(くに)守(もり)を　崇(あが)めて、　　　　　　　　　　　　　

３５２

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、

御(おん)みずから　祈(いの)り

国(くに)守(もり)を　崇(あが)めて　　　　　　　　　　　　　

国(くに)　勝(まさ)り　下(くだ)さい

鳴(と)響(よ)む精(せ)高子(だかこ)が、

３５３

聞(きこ)え植(おわ)笠(かさ)が、　　　　　　　　　　　　　　　　　　

父(ちち)なる御方(おかた)

これこそ　まこと

京(きょう)の内(うち)の

金(こがね)花(ばな)に　譬(たと)える　　　　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む植(おわ)笠(かさ)が、　　　　　　　　　　　　　　　　　

３５４

聞(きこ)え君(きみ)の頭(かしら)、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

京(きょう)の内(うち)庭(みや)

手持(ても)ち玉(だま)　生(う)んで

これこそ　まこと

首(しゅ)里親(りおや)国(ぐに)

鳴(と)響(よ)む君(きみ)の頭(かしら)、

３５５

首里(しゅり)モリグスク、

喜(よろこ)び群(む)れ舞(ま)えば　　　　　　　　　　　

百(もも)浦(うら)　寄(よ)って来(き)なさい

幸(さち)寄(よ)せるグスク

真玉(まだま)モリグスク、

揚(あ)がる望月(もちづき)が、　　　　　　　　　　　　　　　　　

君(きみ)の望月(もちづき)が、　　　　　　　　　　　　　　　　　

３５６

聞(きこ)え植(おわ)盛(もり)は、　　　　　　　　　　　　　　　　

京(きょう)　鎌倉(かまくら)

ジャワ　南蛮(なんばん)まで

唐(とう)　宮古(みやこ)　揃(そろ)えて

合(あ)わせなさい　　　　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む植(おわ)盛(もり)が、　　　　　　　　　　　　　　　　

３５７

聞(きこ)え押(おし)笠(かさ)が、　　　　　　　　　　　　　　　

御(おん)みずから　祈(いの)り

国王(てだ)が仰(おお)せ　誇(ほこ)り　　　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)こそ　　　　　　　　　　　　

掛(か)けて　栄(は)えなさい

鳴(と)響(よ)む君(きみ)の按(あん)司(じ)は、

首里(しゅり)モリ　います、

世(よ)の主(ぬし)の按(あん)司(じ)大主(おそい)

真玉(まだま)モリ　います、

清(きよ)き金比屋(かなひや)武(ぶ)に、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

手(て)　摩(す)り　降(お)ろす　君(きみ)が

国王(てだ)が仰(おお)せ　誇(ほこ)り　　　　　　　　　　

国王(てだ)が仰(おお)せなれば、　　　　　　　　　　

きらめき　うるわしく

国王(てだ)が仰(おお)せ　誇(ほこ)り　　　　　　　　　　

島直(しまなお)し　降(お)りられて、

おとこ達(たち)　見守(みまも)り

国王(てだ)が仰(おお)せ　誇(ほこ)り　　　　　　　　　　

３５８

聞(きこ)え照(てる)君(ぎみ)が、　　　　　　　　　　　　　　　　

京(きょう)に降(お)りる　来(き)やすさ

成(な)せる人(ひと)が　御面影(みおもかげ)　立(た)って　　　　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む照(てる)君(ぎみ)が、　　　　　　　　　　　　　　

グスク御殿(おどの)　見上(みあ)げれば、

島討(しまう)ち御殿(おどの)　見上(みあ)げれば、

３５９

聞(きこ)え照(てる)君(きみ)が、

世(よ)守(まも)る鷲(わし)　取(と)られて

島討(しまう)ち羽根(はね)

按司(あんじ)大主(おそい)に　差(さ)し上(あ)げよ

郡(こおり)君(ぎみ)　選(えら)び遣(や)り、　　　　　　　　　

憑(つ)き女(め)　御兄弟(みきょうだい)、　　　　　　　　　

精戦(せいくさ)　発(た)つと言(い)う、　　　　　　　　

３６０

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、

京(きょう)の内(うち)は　押(お)し開(あ)けて

首里(しゅり)モリ　降(お)りられて

末永(すえなが)く　世(よ)守(まも)る精(せじ)

按司(あんじ)大主(おそい)に　差(さ)し上(あ)げよ

鳴(と)響(よ)む精(せ)高子(だかこ)が、

御城内(おしろうち)は　突(つ)き開(あ)けて

真玉(まだま)モリ　降(お)りられて

父(ちち)なる御方按司(おかたあんじ)大主(おそい)

現世(いけな)君(ぎみ)　迎(むか)えて　　　　　　　　　

吾(わ)が愛(あい)する按司(あんじ)大主(おそい)、

降(お)り人(ひと)君(ぎみ)　迎(むか)えて　　　　　　　　

太陽(てるか)神(わ)が、　　　　　　　　　　　　

愛(あい)し守(まも)られる按(あん)司(じ)大主(おそい)、　　　　　　

照(てる)日(し)神(の)が、　　　　　　　　　　　　

守(まも)られる按(あん)司(じ)大主(おそい)

按司(あんじ)大主(おそい)は　今(いま)からこそ、

末(すえ)　勝(まさ)り　下(くだ)さい

３６１

聞(きこ)え差(さ)笠(かさ)が、　　　　　　　　　　　　　　

神座(かぐら)より　帰(かえ)り　　　　　　　　

首里(しゅり)モリ　珍(めずら)しさ

かがやきなして

按司(あんじ)大主(おそい)　守(まも)れ　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む差(さす)笠(かさ)が、　　　　　　　　　　　　　

天上(おぼつ)より　帰(かえ)り　　　　　　　　　

真玉(まだま)モリ　珍(めずら)しさ

首里(しゅり)モリグスク、

天上(おぼつ)嶽(だけ)　現(あらわ)れ　　　　　　　　　　

真玉(まだま)モリグスク、

神座(かぐら)嶽(だけ)　現(あらわ)れ　　　　　　　　　　

良(よ)き日(ひ)ごと　降(お)りなさい、

吉(よ)き日(ひ)ごと　降(お)りなさい

３６２

あかつきが　立(た)てば、

天(てん)の内(うち)　京(きょう)の内(うち)を

押(お)し開(あ)けて

太陽(てるか)神(わ)が　清(きよ)らさ　　　　　　　　

照(て)り添(そ)える

大島(おおしま)　守(まも)り　下(くだ)さる　　　　　　　　　　　　　

あけぼのが　立(た)てば、

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、　

首里(しゅり)モリ　います

愛(あい)する按司(あんじ)大主(おそい)

鳴(と)響(よ)む精(せ)高子(だかこ)が、

真玉(まだま)モリ　います

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)こそ、

国王(てだ)　太陽(てる)神(かわ)と　　　　　　　　　

十声(とこえ)　遣(や)り交(か)わして　　　　　　　

３６３

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、

末(すえ)　尋(たず)ね　降(お)りられて

父(ちち)なる御方按司(おかたあんじ)大主(おそい)

御顔(みかお)　合(あ)わせて

美(うつく)しさは　このように　

鳴(と)響(よ)む精(せ)高子(だかこ)が、

真(ま)末(すえ)　尋(たず)ね　降(お)りられて

父(ちち)なる御方按司(おかたあんじ)大主(おそい)、

百歳(ひゃくさい)　成(な)るまでも

様(さま)変(が)わり　なされるな

吾(わ)が愛(あい)する按司(あんじ)大主(おそい)、

百歳(ひゃくさい)　成(な)るまでも

成(な)り変(か)わり　なさる

年(とし)　三年(みとせ)　成(な)るまで、

神(かみ)の事(こと)　取(と)るまで

清(きよ)き遊(あそ)び　間遠(まどお)さ

年(とし)　四年(よとせ)　成(な)るまで、

神(かみ)の業(わざ)　取(と)るまで

国鳴(くにと)響(よ)み　間遠(まどお)さ

天上(おぼつ)君(きみ)君(ぎみ)は、　　　　　　　　　　　　

大君(おおきみ)は　祈(いの)り

首里(しゅり)モリ　降(お)りたいと

神座(かぐら)君(きみ)君(ぎみ)が、　　　　　　　　　　　　

精(せ)高子(だかこ)は　祈(いの)り立(た)て　　　　　　　　　　　　　

真玉(まだま)モリ　降(お)りたいと

園比屋(そのひや)武(ぶ)　金比屋(かなひや)武(ぶ)は、　　　　　　　

モリグスク　造(つく)り

天降(てお)りの子(こ)　美(うつく)しく　　　　　　　　

３６４

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、

昔(むかし)初(はじ)めから

首里(しゅり)モリ　祈(いの)り立(た)て　　　　　　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)に　差(さ)し上(あ)げよ

大君(おおきみ)こそ　肝(きも)　揃(そろ)え　います

鳴(と)響(よ)む精(せ)高子(だかこ)が、　　　　　　　　　　　　　

世開(よあ)け初(はじ)めから　　　　　　　　　　　　　　

真玉(まだま)モリ　祈(いの)り立(た)て

父(ちち)なる御方按司(おかたあんじ)大主(おそい)が、

太陽(てるか)神(わ)が　上(あ)がる様(よう)に　掛(か)け添(そ)うて　　　　　

吾(わ)が愛(あい)する按司(あんじ)大主(おそい)、

照(てる)日(し)神(の)が　上(あ)がる様(よう)に　照(て)り添(そ)うて　　　　　

首里(しゅり)モリ御内(みうち)に、

太陽(てる)神(かわ)が　揚(あ)がるモリ　　　　　　　　　　　　

モリグスク　現(あらわ)れ

真玉(まだま)モリ御内(みうち)に、

照(て)日(る)神(しの)が　金(かね)のモリ　　　　　　　　　　　　　

モリグスク　現(あらわ)れ

太陽(てる)神(かわ)と　心根(こころね)は　喜(よろこ)び、　　　　　　　　　　　

照(て)日(る)神(しの)と　肝(きも)の根(ね)は　喜(よろこ)び　　　　　　　　　

３６６

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、

愛(あい)する貴(たか)き人(ひと)

うらうらと

共(とも)座敷(ざしき)　います

鳴(と)響(よ)む精(せ)高子(だかこ)が、

首里(しゅり)モリ　います、

真玉(まだま)モリ　います、

３６７

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、

祭場(いべ)の祈(いの)り　なされて　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)が　ためにと

天上(おぼつ)より　帰(かえ)ろう　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む精(せ)高子(だかこ)が、

司(つかさ)祈(いの)り　なされて　　　　　　　　　

あかつきが　立(た)てば、

太陽(てる)神(かわ)こそ　見守(みまも)る　　　　　　　　　

夕暮(ゆうぐ)れが　立(た)てば、

君(きみ)君(ぎみ)こそ　見守(みまも)る

憑(つ)き女(め)　照(てる)真物(まもの)、　　　　　　　　　　

愛(め)でたしと　降(お)りて　　　　　　　

降(お)り女(め)　照(てる)妃(きしやき)、　　　　　　　　　　　　　　　　　　

愛(め)でたしと　降(お)りて

良(よ)き日(ひ)　七日(なのか)　遊(あそ)び、

眼(まなこ)　合(あ)わせてからは

夜(よ)中(なか)　七日(なのか)　遊(あそ)び、

御顔(みかお)　合(あ)わせてからは

鳴(と)響(よ)む傘(かさ)　煽(あお)らせて、　　　　　　　　　　

見物(みもの)踊(おど)り　珍(めずら)しく

稀(まれ)なる傘(かさ)　煽(あお)らせて、　　　　　　　　　　　

清(きよ)き踊(おど)り　珍(めずら)しく

数(かぞ)えられぬ　兵(へい)達(たち)、

組(く)む手(て)　合(あ)わせて　手(て)　摩(す)り

数(かず)知(し)らぬ　おとこ等(ら)、

御袖(みそで)　合(あ)わせて　手(て)　摩(す)り

おとこ島(じま)　直(なお)して、

この御島(みしま)　直(なお)して

３６９

聞(きこ)え按司(あんじ)大主(おそい)は、　　

太陽(てる)神(かわ)こそ　守(まも)れ　　　　　　　

守(まも)られれば

百(もも)末(すえ)　います　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む按(あん)司(じ)大主(おそい)は、

照(てる)日(し)神(の)こそ　守(まも)れ　　　　　　　

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)こそ、　

按司(あんじ)大主(おそい)　守(まも)れ

鳴(と)響(よ)む大君(おおきみ)こそ、

貴(たか)き人(ひと)を　守(まも)れ

天(あま)御国(みや)　君(きみ)南風(はえ)は、　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)がために

去(し)行(ねり)国(や)　君(きみ)南風(はえ)は、　　　　　　

貴(たか)き人(ひと)が　ために

天上(おぼつ)精(せじ)　降(お)ろして、　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)こそ　守(まも)れ

神座(かぐら)精(せじ)　降(お)ろして、　　　　　　

貴(たか)き人(ひと)こそ　守(まも)れ

神座(かぐら)　在(あ)る　金(こがね)精(せじ)、　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)に　差(さ)し上(あ)げよ

３７０

尚思紹(きみし)按司(あんじ)大主(おそい)が、　　　　　　

懲罰(ちょうばつ)を　成(な)されて

末(すえ)　勝(まさ)り

遊(あそ)び群(む)れ舞(ま)えば

神(かみ)太陽(てだ)の　誇(ほこ)り　　　　　　　

守(まも)られて

京(きょう)の内綾(うちあや)庭(みや)に、　　　　　　　　　　　

３７１

天(てん)　強(つよ)く　鳴(と)響(よ)みまして、

世(よ)の貢(みつぎ)　御神酒(おみき)

吾(わ)が貴(たか)き王様(おうさま)こそ　　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)の頭(かしら)

聞(きこ)え羽地(はねじ)御船(みふね)、　　　　　　　　　　　　　　　　

吾(わ)が貴(たか)き王様(おうさま)こそ　　　　　　　　　　　　　

世(よ)の貢(みつぎ)　持(も)ちなさい、

世(よ)の捧(ささ)げ　持(も)ちなさい

吾(わ)が高(たか)き王様(おうさま)こそ

３７２

あかつきに　祈(いの)り、

降(お)ろす　神(かみ)は

おとこ　養(やしな)いて

按司(あんじ)大主(おそい)を　守(まも)れ

精(せじ)高(たか)く　誇(ほこ)り

あけぼのに　祈(いの)り、

３７３

首里(しゅり)モリグスク、

「エ」　沖縄(おきなわ)の　魚(うお)は　　　　　　　　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)に　差(さ)し上(あ)げよ

真玉(まだま)モリグスク、

３７４

首里(しゅり)モリ　います、

敬(うやま)いの国王(てだ)よ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

御身(おんみ)が身(み)を　拝(おが)めば　愛(いと)しき　　　　　　　　　　　　　　　　　

真玉(まだま)モリ　います、

３７５

弥勒(みろく)　見(み)て　和(なご)む、　　　　　　　　　　　

好(この)まれる　弥勒(みろく)

この　御神酒(おみき)　抜(ぬ)き上(あ)げられ

世(よ)は　あります

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

上(かみ)の世(よ)の鍵(かぎ)は、

下(しも)の世(よ)の鍵(かぎ)は

３７６

首里(しゅり)モリグスク、

今日(きょう)は　何(なに)を　なさいます

喜(よろこ)び　忙(いそが)しさこそ　なさいます

真玉(まだま)モリグスク、

３７７

気(け)遠(と)の沖縄(おきなわ)が、　　　　　　　　　　　　

百(もも)浦(うら)真顔子(まちらす)は　　　　　　　　　　　　

大和(やまと)　京(きょう)　鎌倉(かまくら)

幸(さち)の国(くに)寄(よ)せる按司(あんじ)大主(おそい)　　　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)は　拝(おが)みてこそ

千代(ちよ)に　います

鳴(と)響(よ)む沖縄(おきなわ)が、

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)の、

３７８

何時(いつ)　夏(なつ)　立(た)ちたる、　　　　　　　

成(な)せる人(ひと)　愛(いと)しくて

見(み)あげたいと

何時(いつ)　降(お)り　立(た)ちたる、

　

３７９

天(てん)に鳴(と)響(よ)む大主(おおぬし)、　　　　　　　　　　　　

明(あ)け斑(もどろ)の花(はな)の　　　　　　　　　　　　

咲(さ)き渡(わた)り

あれを　見(み)れば

清(きよ)らさよ

地天鳴(ちてんと)響(よ)む大主(おおぬし)、

３８０

若(わか)さ　有(あ)る時(とき)は、

玉(たま)纏(まき)　選(えら)び　差(さ)して　　　　　　　　　　

百歳(ひゃくさい)　成(な)ってからは

金(こがね)精(せじ)　付(つ)け遣(や)り　　　　　　　　　　　　

御前(みまえ)　輝(かがや)きて　　　　　　　　　　　　　

若(わか)さ　有(あ)る時(とき)は、

鎧(よろい)　選(えら)び　着(き)たので　　　　　　　　　　

３８１

儀間(ぎま)の由良(よら)長(ふさ)よ、　　　　　　　　　　

儀間(ぎま)の思(おも)う子(こ)よ

按司(あんじ)大主(おそい)が　　　　　　　　　　　　

島(しま)　丸(まる)く　御声(みこえ)

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

宇佐(うさ)の崎(さき)より　追(お)い、　　　　　　　　

佐手(さて)の港(みなと)より　追(お)い　　　　　　　　　

３８２

世寄(よよ)せ三連(みつま)玉(わり)こそ、　　　　　　　　　

玉(たま)の王(おう)なれば

果報(かほう)は　首(しゅ)里親(りおや)国(ぐに)

玉(たま)の　三連(みつま)玉(わり)こそ、

３８３

雲子(くもこ)モリ　います、　　　　　　　　　

吾(わ)が愛(あい)する貴(たか)き人(ひと)

国王(てだ)が　思(おも)われる　　　　　　　　　

刀剣(まて)持(も)つ貴(たか)さ　　　　　　　　　　　

真玉(まだま)モリ　います、

３８４

按司(あんじ)大主(おそい)が、

植(う)え差(さ)したる　松並(まつなみ)

末永(すえなが)く　常(とこ)永遠(とわ)に　祈(いの)る　　　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)が、

立(た)て差(さ)したる　蒲(こ)葵(ば)並(なみ)　　　　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)が、

立(た)て差(さ)したる　梯梧(でいご)並(なみ)　　　　　　　　　　　　　　

３８５

黒(くろ)き横(よこ)垂(たり)は、　　　　　　　　　　　　　　　　　

吾(わ)が按(あん)司(じ)様(さま)は

御顔(みかお)を　拝(おが)みてこそ　　　　　　　　　　

夜(よ)が　明(あ)ける様(よう)に

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

横(よこ)垂(たり)の　貢(みつぎ)、

按司(あんじ)様(さま)の　捧(ささ)げ

３８６

蒲葵肝寄(こばきもより)は、　　　　　　　　　

吾(われ)の肝寄(きもより)は　　　　　　　　　　　

天(てん)の太陽(てだ)　　　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)　守(まも)る

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

首里(しゅり)　降(ふ)る　雨(あめ)は、

清(きよ)き水(みず)こそ　降(ふ)ります

グスク　降(ふ)る　雨(あめ)は、　　　　　　　

若水(わかみず)こそ　降(ふ)ります

３８９

聞(きこ)え按(あん)司(じ)大主(おそい)が、

首里(しゅり)モリ　いますれば

今日(きょう)も　明日(あす)も

御顔(みかお)を　　　　　　　　　　

拝(おが)むのが　勝(まさ)り

鳴(と)響(よ)む按(あん)司(じ)大主(おそい)が、

真玉(まだま)モリ　いますれば

３９０

按司(あんじ)でさえ　このように、

役人(やくにん)でさえ　このように　　　　　

珍(めずら)しさ飽(あ)かぬ首(しゅ)里親(りおや)国(ぐに)

宜(ぎ)寿(す)次(し)　居(い)てさえも、　　　　　　　

珍(めずら)しさ飽(あ)かぬ

３９１

屋取拵(やとりこしらい)が、　　　　　　　　　　　　

水川(みずかわ)の　真(ま)清水(しみず)　　　　　　　　　

乞(こ)いに　行(い)かれ

モリの拵(こしらい)が、　　　　　　　　　　　　　　　　

海果(みる)国(や)　轟(とどろ)きて、　　　　　　　　　　　

彼方(かな)国(や)　轟(とどろ)きて、　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)　栄(は)える　神(かみ)鼓(つづみ)　降(お)ろして、　　　　　　　　　　　　　　

主(ぬし)　栄(は)える　鼓(つづみ)　捧(ささ)げて、

３９２

佐(さ)敷金(しきかな)モリに　　　　　　　　　　　　　

夕凪(ゆうなぎ)　雲(くも)が　追(お)い