巻

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巻１５　浦添(うらそえ)、北谷(ちゃたん)、読谷山(よみたんざん)、おもろの御(おん)さうし

１０５２

朝(あさ)戸(と)御役人(おきて)　親御(おやみ)蒲(かま)、　　　　

貢(みつぎ)　積(つ)む　首(しゅ)里親(りおや)国(ぐに)

天(あめ)久(く)口(ぐち)　親(おや)泊(どまり)、　　　　　　　

那覇(なは)泊(どまり)　親(おや)泊(どまり)、　　　　　　　　

１０５６

天久(あめく)舞遣思(まいやりおもい)、　　　　　　　　

来(く)ると　知(し)らぬか

道中(みちなか)　御迎(おむか)え　します　　　　

意地気舞遣思(いじきまいやりおもい)、　　　　　　　

１０５７

沢岻(たくし)太郎名付(たらなづけ)按司(あんじ)よ、　　　　

磁石(じしゃく)の石(いし)と　金(かね)の　様(よう)に　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)　精(せじ)　付(つ)けば　　　　　　

殿(との)こそ　世(よ)は　居(い)て下(くだ)さい

良(よ)き太郎(たろう)名付(なづけ)、　　　　　　　　　

１０５８

沢岻(たくし)太郎(たら)名付(なづけ)、　　　　　　　

拝(おが)む者(もの)　言(い)わば

按司(あんじ)様(さま)は　　　　　　　　　　

京(きょう)　鎌倉(かまくら)　鳴(と)響(よ)ませ

良(よ)き太郎(たら)名付(なづけ)、

１０５９

沢岻(たくし)太郎(たら)名付(なづけ)、　　　　　　　

国(くに)　郡(ぐん)　浦(うら)ごとに　　　　　　　

鳴(と)響(よ)ませて　使(つか)い

良(よ)き太郎(たら)名付(なづけ)、

１０６０

清(きよ)き貴(たか)き按(あん)司(じ)様(さま)、　　　　　　　　

清(きよ)らさ　誇(ほこ)れ

良(よ)き貴(たか)さ、

中西(なかにし)の選(えら)び真(ま)民(たみ)、　　　　　　　

朝凪(あさなぎ)に、

夕凪(ゆうなぎ)に

鈴(すず)丸(まる)は、　　　　　　　　　　　

速(はや)丸(まる)は　　　　　　　　　　　　

伊那(いな)武(ん)　渡(わた)り、　　　　　　　　

岩礁(ちいたか)　渡(わた)り　　　　　　　　　　

１０６１

親(おや)屋(や)富(ふ)祖(そ)の大親(おおや)、　　　　　　　

大役人(おおやこ)が　貢(みつぎ)　　　　　　　　　

上(のぼ)り　行(ゆ)けば

按司(あんじ)が　誇(ほこ)りまして

又吉(またよし)の大役人(おおやこ)、　　　　　　　　

大役人(おおやこ)が　捧(ささ)げ　　　　　　　　

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

大役人(おおやこ)が　捧(ささ)げ

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に、

１０６２

城間(ぐすくま)の大役人(おおやこ)、　　　　　　　　

又吉(またよし)の大役人(おおやこ)　　　　　　　　　

京(きょう)の内(うち)　喜(よろこ)ばせ　　　　　　　　　　　　　

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

１０６３

城間(ぐすくま)の真庭(まみや)に、　　　　　　　　

首里(しゅり)赤(あか)冠(べ)　持(も)て成(な)して　　　　　

金(こがね)の真玉(まだま)の御酌(みしゃく)　　　　　　　　

又吉(またよし)の真庭(まみや)に、

１０６４

城間(ぐすくま)の真(ま)山戸(やまと)、　　　　　　　　

まこと　見物(みもの)　来(こ)られて

依(より)笠(かさ)が　強(つよ)き踊(おど)り　見物(みもの)　　　　　

又吉(またよし)の後(うし)ろ盾(だて)、　　　　　　　

１０６５

城間(ぐすくま)の蒲(こ)葵(ば)モリ、　　　　　　　　　　

蒲(こ)葵(ば)モリも　世(よ)盛(も)る神酒(みき)多(おお)く　　　　　

後(うし)ろ盾(だて)モリ　　　　　　　　　　　　　

夕(ゆう)暮(ぐ)れれば　留(と)まりなさい

又吉(またよし)の蒲(こ)葵(ば)モリも、　　　　　　　　　

１０６６

伊祖(いそ)伊(い)祖(そ)の石(いし)グスク、　　　　　　　

天(てん)御人(みきよ)が　巧(たく)みたる　グスク　　　　

伊祖伊(いそい)祖(そ)の金(かな)グスク、　　　　　　　　　　　　

１０６７

伊祖伊(いそい)祖(そ)の石(いし)グスク、　　　　　　　

ますます　添(そ)うて　ください

伊祖伊(いそい)祖(そ)の金(かな)グスク、

１０６８

伊(い)祖(そ)の石(いし)グスク、

上(のぼ)り　見(み)たる　勝(まさ)り

伊(い)祖(そ)の金(かな)グスク、

１０７０

浦添(うらそえ)に　います、　　　　　　　　　　

聞(きこ)え植(おわ)守(もり)は　　　　　　　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)　役人(やくにん)　巣立(すだ)て遣(や)り　ください　　　　　　　

世(よ)の頂(いただ)きに　います、　　　　　　　　　　　　　

１０７１

聞(きこ)え浦添(うらそえ)は、

按司(あんじ)の巣立(すだ)つ親(おや)国(ぐに)

十百(ともも)末(すえ)　十百(とひゃく)歳(さい)こそ　います　　　　　

鳴(と)響(よ)む浦添(うらそえ)は、

主(ぬし)の巣立(すだ)つ親(おや)国(ぐに)

１０７２

聞(きこ)え浦添(うらそえ)は、　　　　　　　　　　　　　

島(しま)の親(おや)なれば

百(もも)按司(あんじ)の　貢(みつぎ)　積(つ)み　差(さ)し上(あ)げよ　　　　

鳴(と)響(よ)む浦添(うらそえ)は、

１０７３

浦添(うらそえ)に　いまして、　　　　　　　

玉(たま)御酌(みしゃく)　差(さ)しまして　　　　　　　　　

百(もも)按司(あんじ)は　見(み)て　羨(うらや)みます　　　　　

世(よ)の頂(いただ)きに　いまして、　　　　　　　　　

１０７４

聞(きこ)え浦添(うらそえ)に、

島(しま)の舞(ま)い　踊(おど)れば

兵士(へいし)を　舞(ま)い出(だ)させて　直(なお)し

鳴(と)響(よ)む浦添(うらそえ)に、

国(くに)の舞(ま)い　踊(おど)れば

１０７５

聞(きこ)え浦添(うらそえ)に、　　　　　　　

清(きよ)き王(おう)　使(つか)い

鳴(と)響(よ)む浦添(うらそえ)に、　　　　　　　　

１０７６

聞(きこ)え按(あん)司(じ)大主(おそい)は、　　　　　　　

浦添(うらそえ)に　いますれば　　　　　

王様(おうさま)が　誇(ほこ)りまして

鳴(と)響(よ)む按(あん)司(じ)大主(おそい)は、

世(よ)の頂(いただ)き　いますれば

１０７７

聞(きこ)え浦添(うらそえ)に、　　　　　　　　　　　

西東(にしひがし)の貢(みつぎ)　持(も)ち寄(よ)せて　

鳴(と)響(よ)む浦添(うらそえ)に、　　　　　　　　　　

１０７８

君志(きみし)按司(あんじ)大主(おそい)は、　　　　　　　　　

鷲(わし)こそ　栄(は)えまして

上下(かみしも)　世(よ)　添(そ)うて　下(くだ)さい

御馬(みうま)も　鷲(わし)毛(げ)、

鷲(わし)こそ　栄(は)えなさい

乗(の)り御馬(みうま)も　鷲(わし)毛(げ)、

鷲(わし)こそ　栄(は)えなさい

１０７９

浦添(うらそえ)の根(ね)国(くに)、　　　　　　

百度(ももと)　積(つ)む　金(こがね)　　　　　　

浦添(うらそえ)こそ　有(あ)ります

渡嘉敷(とかしき)の真(ま)国(くに)、　　　　　　

１０８０

浦添(うらそえ)の根(ね)国(くに)、　　　　　　

泉(いずみ)　清水(しみず)　造(つく)り

巣立(すだ)つ水(みず)

尚(おぎ)真(やか)王(もい)に　差(さ)し上(あ)げよ　　　　

渡嘉敷(とかしき)の真(ま)国(くに)、　　　　　　

１０８１

聞(きこ)え浦添(うらそえ)に、　　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)　選(えら)びてこそ　待(ま)ちます　

十百(ともも)末(すえ)　思(おも)い子(ご)こそ　います　　　　　　

鳴(と)響(よ)む浦添(うらそえ)に、

１０８２

聞(きこ)え浦添(うらそえ)に、　　　　　　　　　　

清(きよ)き鳴(とよ)響(み)良(よし)丸(まる)　　　　　　　　　　

真玉(まだま)真物(まもの)

父(ちち)なる御方(おかた)と　撓(しな)い

鳴(と)響(よ)む浦添(うらそえ)に、

大和(やまと)杉(すぎ)の

板金(いたがね)の縄(なわ)　掛(か)けて　　　　　　　　　　　

１０８３

浦添(うらそえ)の門口(かどぐち)、　　　　　　

船頭(しと)木(ぎ)丸(まる)を　漕(こ)がせ　　　　　　　　　

渡嘉敷(とかしき)の門口(かどぐち)、　　　　　　

真木(まき)丸(まる)を　漕(こ)がせ　　　　　

１０８４

浦添(うらそえ)の親(おや)神女(のろ)、　　　　　

北(にし)モリに　降(お)りられて　　　　　

天(あま)御国(みや)世(よ)の　　　　　　　　

世(よ)守(まも)る精(せじ)　差(さ)し上(あ)げよ

真顔(まちら)主(す)の　親(おや)神女(のろ)、　　　　

蒲(こ)葵(ば)モリに　降(お)りられて　　　　

１０８７

浦添(うらそえ)は　浦添(うらそえ)は、

神酒(みき)こそ　有(あ)るか　酒(さけ)こそ　有(あ)るか

感謝(かんしゃ)　感謝(かんしゃ)　今日(きょう)は　今日(きょう)は

英(えい)祖(そ)王(おう)様(さま)がもとへ　使(つか)い　　　　　　　

渡嘉敷(とかしき)は　渡嘉敷(とかしき)は、

酒(さけ)こそ　有(あ)るか　神酒(みき)こそ　あるか

１０８８

このように、

三郎子(さぶろこ)が　仰(おお)せこそ　　　　　　　　

神(かみ)太陽(てだ)の精(せじ)　　　　　　　　　　　　

持(も)ち遣(や)り　ください

このように、

おとこ等(ら)が　仰(おお)せこそ

浦添(うらそえ)も　来(き)てください、　　　　　　

世(よ)の頂(いただ)きも　来(き)てください　　　　　　　　　

１０９０

浦添(うらそえ)の思(おも)い子(ご)、

百度(ももと)　居(い)て下(くだ)さい　　　　　　　　　　

思(おも)い子(ご)　後勝(のちまさ)り

百按司(ももあんじ)　友(とも)と　しなさい　　　　　　　　　　　

世(よ)の頂(いただ)きの思(おも)い子(ご)、　

懲罰(ちょうばつ)を　成(な)しまして、

　　　　　　　

１０９１　

聞(きこ)え棚原(たなばる)に、　　　　　　　　　

良(よ)き人(ひと)は　十百度(とももと)　　　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)　栄(は)えよ　　　　　　

鳴(と)響(よ)む棚原(たなばる)に、

１０９２

聞(きこ)え棚原(たなばる)に、

夏(なつ)　冬(ふゆ)も　判(わか)らず

喜(よろこ)び　御神酒(おみき)こそ　盛(も)ります　　　

鳴(と)響(よ)む棚原(たなばる)に、

夏(なつ)　冬(ふゆ)も　判(わか)らず

１０９３

棚原(たなばる)の按司(あんじ)の、　　　　　　　　　

思(おも)い子(ご)を　生(な)しまして

島(しま)を　預(あず)けまして

下(しも)の世(よ)の主(ぬし)の、

思(おも)い子(ご)を　生(な)しまして

１０９４

嘉数(かかず)モリグスク、　　　　　　　　　

根立(ねだ)てモリグスク

弱倉(なよくら)　手(て)　摩(す)り　喜(よろこ)ばせ　　　　　

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

新神(あらがみ)は　手(て)　摩(す)り、　　　　　　　

降鳴(おりなく)は　手(て)　摩(す)り　　　　　　　

１０９５

嘉数鈴鳴(よみかずすずなり)は、　　　　　　　　　　

天底(あめそこ)の金(こがね)庭(みや)に　　　　　　　　　　

降(お)りたくて

見物(みもの)鈴鳴(すずなり)は、

１０９６

嘉数鈴鳴(かかずすずなり)は

降(お)りたい天底(あめそこ)

降(お)りて　降(お)り直(なお)し

見物鈴鳴(みものすずなり)、

１０９７

若(わか)き人(ひと)が、

照(て)り揚(あ)がる望月(もちづき)に

十百度(とももと)の　　　　　　　　　　　

刀(かたな)差(さ)しの　鳴(と)響(よ)み

若(わか)き人(ひと)が、

嘉数(かかず)　桃原(とうばる)　　　　　　　　　　　　　

十百度(とももと)

１０９８

意地(いじ)気(き)謝名(じゃな)の御役人(おきて)、　　　　　　

大国謝名(おおくにじゃな)の御役人(おきて)よ

大国(おおくに)　選(えら)ぶ　謝名(じゃな)の御役人(おきて)

如何(いか)なる親(おや)の　生(な)したるか、

如何(いか)なる長(おさ)が　生(な)したるか

時(とき)　取(と)り遣(や)り　生(な)したるよ、

良(よ)き日(ひ)　取(と)り遣(や)り　生(な)したるよ　　　　

１０９９

謝名(しゃな)の子(こ)は　根(ね)　します、　　　　　

堂(どう)の子(し)　銀(しろがね)　金(こがね)　　　　　　　　　　

持(も)ち満(み)ち得(え)る

御庭(おな)殿(どの)は　根(ね)　します、　　　　　　

１１００

謝名(じゃな)の冷思(ひやりおもい)、　　　　　　　　　　　

意地気冷思(いじきひやりおもい)　　　　　　　　　　　　

愛(め)でる按司(あんじ)に　思(おも)われて

謝名(じゃな)の良(よ)き島(しま)、

海(うみ)　近(ちか)く　ありて

研(と)ぎ矢(や)は　魚(うお)　突(つ)く、　　　　　　　　

射(い)銛(もり)は　蛸(たこ)　突(つ)く　　　　　　　　　　

海(うみ)も　親(おや)の物(もの)、

海神(わたつみ)も　親(おや)の物(もの)　　　　　　　　　　　

１１０１

謝名(じゃな)の世(よ)に清(きよ)き人(ひと)、　　　　　　　　　　

攻(せ)め討(う)ち　金丸(かなまる)　　　　　　　　　　　　　　　　

心(うら)切(ぎ)れて　こう　ある　　　　　　　　

喜(きゅ)友名(うな)の富(と)盛(もり)、　　　　　　　　　　　

面影(おもかげ)の富(と)盛(もり)

中(なか)グスク　見(み)れば、

白(しら)御嶽(みたけ)　見(み)れば　　　　　　　　　　　

白布(しらぬの)も　延(の)べて、

真(ま)布(ぬの)も　延(の)べて

１１０２

宜野湾(ぎのわん)の神女(のろ)の、　　　　　　　　　　

伊佐(いさ)モリに　降(お)りられて　　　　　　　　

島(しま)　治(おさ)め

按司(あんじ)大主(おそい)に　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　　　

根(ね)の島(しま)の神女(のろ)の、

１１０３

宜野湾(ぎのわん)の按司(あんじ)の、　　　　　　　　　　

夜(よ)星(ほし)嶺(みね)　いまして　　　　　　　　　

大田(おおた)から　見(み)れば

白(しら)稲穂(いなほ)の　　　　　　　　　　　　　　

寄(よ)り靡(なび)く　清(きよ)らさ

根(ね)の島(しま)の按司(あんじ)の、

１１０５

北谷(ちゃたん)に　います、　　　　　　

浦(うら)の世(よ)の主(ぬし)の

兄(あに)を　珍(めずら)しがり

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

大神酒(おおみき)は　造(つく)り、　　　　　

酒蔵(さかぐら)は　建(た)てて　　　　　　　　

勝連(かつれん)に　います、　　　　　

思(おも)う兄(あに)　使(つか)い

何(なに)が　引(ひ)き出物(でもの)、

何(なに)が　土産物(みやげもの)　　　　　　　　　

糸縅(いとおどし)の　鎧(よろい)、　　　　　　　

絹縅(きぬおどし)の　鎧(よろい)　　　　　　　　

これこそ　引(ひ)き出物(でもの)、

これこそ　土産物(みやげもの)

１１０６

太郎子(たらこ)北(にし)殿(どの)よ、　　　　　　　　　　

良(よ)き北(にし)殿(どの)よ　　　　　　　　　　　　　　

御祝付(おえつき)こそ　世(よ)は　居(い)て下(くだ)さい　　　　

北(にし)の世(よ)の主(ぬし)の、　　　　　　　　　　

勝(まさ)り人(びと)を　生(な)しまして　　　　　　　

御祝付(おえつき)こそ

北谷(ちゃたん)の　按司(あんじ)の、　　　　　　　　　

思(おも)い子(ご)を　生(な)しまして

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

１１０７

吾(われ)の角(つの)気立(けだち)、　　　　　　　　　　　　　

吾(われ)の親(おや)気立(けだち)　　　　　　　　　　　　　　

雲(くも)の頂(いただ)きに

鳴(と)響(よ)みます高(たか)さ

北谷(ちゃたん)の按司(あんじ)の、　　　　　　　　　　　　

按司思(ちゃらもい)を　生(な)しまして　　　　　　　　　

按司思(ちゃらもい)が　まことに、　　　　　　　　　

君志(きみし)按司(てだ)　見(み)たる　　　　　　　　　　　

思(おも)い子(ご)の　まことに、

１１０８

北谷(ちゃたん)の世(よ)の主(ぬし)、

吾(わ)が拍子(ひょうし)　打(う)てば

世(よ)　添(そ)うて　います

主(ぬし)の　使(つか)い、　　　　　　　　　　　　　

吾(わ)が拍子(ひょうし)　打(う)てば

１１０９

北谷(ちゃたん)の世(よ)の主(ぬし)の、　　　　　　　　　　　

脇差(わきざし)を　差(さ)しまして　　　　　　　　　　

差(さ)し遣(や)り　栄(は)えまして

主(ぬし)の　使(つか)い、　　　　　　　　　　　　　

脇差(わきざし)は

１１１０

屋(や)良(ら)の辺端(へた)殿(どの)が、　　　　　　　　　　　

御手(みて)を　摩(す)り

「寄(よ)り来(こ)よ」　喜(よろこ)び　　　　　　　　　　　　　　　　　　

砂洲(さす)の辺端(へた)殿(どの)が、　　　　　　　　　　　

１１１１

屋(や)良(ら)の勝(まさ)り人(びと)が、　　　　　　　

首(しゅ)里親(りおや)国(ぐに)　居(い)てから

無(な)いと言(い)っても　有(あ)る

砂洲(さす)勝(まさ)り人(びと)が、　　　　　　　　

若(わか)親(おや)国(ぐに)　居(い)てから

１１１２

城間(ぐすくま)の飽(あ)かぬ庭(みや)に、　　　　　　

清(きよ)き四阿(あずまや)脚上(あしあげ)　造(つく)り　　　　　　　　

屋(や)良座(らざ)嶽(だけ)、　　　　　　　　　　

日傘(ひがさ)松(まつ)の　　　　　　　　　　　

１１１３

朝(あさ)戸(と)御役人(おきて)　親御(おやみ)蒲(かま)、　　　　　

戦(いくさ)精(せじ)高(だか)は　　　　　　　　　　　

島内鳴(しまうちと)響(よ)む按(あん)司(じ)大主(おそい)　　　　　　　　

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

屋(や)良(ら)の門口(かどぐち)に、　　　　　　　　

和宇慶(わうけ)　桃原(とうばる)に、　　　　　　　

１１１４

飽(あ)かぬ珍人(めずらしや)、　　　　　　　　　　　

飽(あ)かぬ君(きみ)清(きよら)　　　　　　　　　　　　

喜(よろこ)び　踊(おど)れ　　　　　　　　　　　　　

砂洲(さす)神(の)女(ろ)湧(わ)き来(く)る、　　　　　　

差(さす)笠(かさ)に　知(し)られて　　　　　　　

持(も)てる旗手(はたて)を　先立(さきだ)て、　　　　　　　

肝(きも)寄(よ)る旗手(はたて)を　先立(さきだ)て

１１１５

屋(や)良(ら)の魚崎(いゆざき)に、　　　　　　　　

屋(や)良(ら)の浜崎(はまさき)に　　　　　　　　　

良(よ)き島(しま)　差(さ)し上(あ)げよ

国(くに)　差(さ)し上(あ)げよ　貴(たか)き人(ひと)　　　　　　　　　　　　

上(うえ)の押(おし)笠(かさ)と、　　　　　　　　　　　

下(しも)の遣(やり)笠(かさ)と　　　　　　　　　　　　

御裳(みも)　打(う)ち交(か)わして、　　　　　　　　　

御袖(みそで)　遣(や)り交(か)わして　　　　　　

今(いま)は　縄(なわ)　一(ひと)つ、

今(いま)は　糸(いと)　一(ひと)つ

１１１６

読谷山(よみたんざん)　います、　　　　　　　

思(おも)う泰期(たいき)様(さま)　　　　　　　　　　　　

清(きよ)き世誇(よほこり)　いまして　　　　　　　

崎(さき)枝(えだ)に　います　　　　　　　　

１１１７

宇座(うざ)の泰(たい)期(き)様(さま)は、　　　　　　　

唐商(とうあきな)い　流行(はや)らせて　　　　　　　　　

按司(あんじ)に　思(おも)われて

意地(いじ)気(き)泰期(たいき)様(さま)は、　　　　　　　

１１１８

宇座(うざ)の泰期(たいき)様(さま)は、

波(なみ)に　出(で)て

建物(たてもの)　見(み)て　来(き)たので

意地(いじ)気(き)泰期(たいき)様(さま)は、

１１１９

宇座(うざ)の泰(たい)期(き)様(さま)は、

意地(いじ)気(き)泰期(たいき)様(さま)は

鏡(かがみ)色(いろ)の巣立(すだ)つ水(みず)を　差(さ)し上(あ)げよ

宇座(うざ)　渡慶(とけ)次(し)　御馬(みうま)、　　　　　　　　　

御神酒(おみき)　甕(かめ)　連(つら)ねて

宇座(うざ)　渡慶(とけ)次(し)　長老(あす)等(ら)、

御酒(おさけ)　餅(もち)　連(つら)ねて

１１２０

大(おお)北(にし)の太郎(たら)殿(どの)、　　　　　　　

太郎(たら)殿(どの)満月(みちづき)は　　　　　　　　

御肝(おぎも)　栄(は)えさせよ

崎(さき)枝(えだ)の太郎(たら)殿(どの)、　　　　　　　

１１２１

大北(おおにし)の太郎(たら)殿(どの)、　　　　　　　

太郎(たら)殿(どの)満月(みちづき)は　　　　　　　　

肝(きも)　広(ひろ)く　持(も)ち遣(や)り

役人(やくにん)に　按司(あんじ)を　思(おも)わせ　　　

崎(さき)枝(えだ)の太郎(たら)殿(どの)、　　　　　　　

太郎(たら)殿(どの)満月(みちづき)は

１１２２

大北(おおにし)に　鳴(と)響(よ)む、　　　　　　

聞(きこ)え弱倉(なよくら)　　　　　　　　　　　　

吾(わ)が守(まも)る按(あん)司(じ)大主(おそい)　　　　　　　　　　　

崎(さき)枝(えだ)に鳴(と)響(よ)む、　　　　　　　

白(しら)志(し)　居(い)てさえも、　　　　　

御嶽(みたけ)　居(い)てさえも

板門(いたもん)　軋(きし)めけば、　　　　　　　　　

誰(だれ)がと　思(おも)うな

聞(きこ)え弱倉(なよくら)

金門(かなもん)　軋(きし)めけば、　　　　　　

甍(いらか)　ほのめけば、　　　　　　

瓦(かわら)　ほのめけば、　　　　　　

１１２３

瀬名波(せなは)艫(とむ)楫(かじ)が、　　　　　　

瀬名波(せなは)兄(あに)様(さま)が

瀬名(せな)波川坂(はかわさか)に、　　　　　　　　　　

瀬名波(せなは)石坂(いしざか)に　　　　　　　　　　　

１１２４

辺留(へる)の椰子(やし)の子(こ)、　　　　　　

命(いのち)　懐(ふところ)に

親(おや)拍子(ひょうし)　喜(よろこ)び　使(つか)い　　　　　　　　　

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に