巻

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巻１７　恩納(おんな)より上(かみ)のおもろ御(お)さうし

１１７５

おもろ小太郎子(こたらつ)が、　　　　　　　　

百歳(ひゃくさい)御神酒(おみき)　　　　　　　　　　

差(さ)しますれば　恐(おそ)れ多(おお)く

世(よ)守(まも)る神酒(みき)の数(かず)

金武(きん)の世(よ)の主(ぬし)に、

百歳(ひゃくさい)御神酒(おみき)

１１７７

恩納(おんな)　八(や)千島(ちしま)よ、　　　　　　　

安富(あふ)祖(そ)　八(や)千島(ちしま)よ　　　　　　　

まこと　鳴(と)響(よ)み　聞(き)こえよ

恩納(おんな)　居(い)てさえも、

安富(あふ)祖(そ)　居(い)てさえも

下(しも)の鳴(と)響(よ)み軍(いくさ)、　　　　　　　　　　　　　　　

下(しも)に聞(き)かれる軍(いくさ)

１１７８

恩納(おんな)は　千島(ちしま)よ、　　　　　　　　

安富(あふ)祖(そ)は　千島(ちしま)よ

見(み)れども飽(あ)かぬ太陽(てだ)

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

１１７９

名護(なご)の小(こ)照(て)る曲(わ)、　　　　　　　　　　

行(ゆ)け　　　　　

見物(みもの)小(こ)照(て)る曲(わ)、　　　　　　　　　　　

行(ゆ)け

１１８０

名護(なご)境(さかい)、　　　　　　　　　

親(おや)境(さかい)　来(き)たので　　　　　　

親門(おやもん)　開(あ)けて　　　　　　　　

吾(われ)　入(い)れよ

御役人(おきて)様(さま)、　　　　　　　　　　

物言(ものい)う方(かた)　来(き)たので

真(ま)羽地(はねじ)の、　　　　　　　　　　

垂(た)れ酒(ざけ)　来(き)たので

阿和(あわ)　屋部(やぶ)の、　　　　　　　　

溜(た)まり酒(ざけ)　来(き)たので

１１８１

喜(き)瀬(せ)の子(し)は　吾(わ)が弟(おとうと)、　　　　　

今(いま)　有(あ)る　庭(みや)　居(い)たる

今日(きょう)から　しばしば　見(み)よう　　　

七曲(ななまが)り　越(こ)えて　名護(なご)の浦(うら)、　　

１１８２

伊差(いさ)川(がわ)の庭(みや)に、

我部(がぶ)祖(そ)河(か)の庭(みや)に、

１１８３

意地(いじ)気(き)川上(かわかみ)は、　　　　　　　　

奥(おく)の人(ひと)なれば

思(おも)う照(てる)日(ひ)　寄(よ)らせて　　　　　　　　

大国(おおくに)川上(かわかみ)は、

１１８４

聞(きこ)え打(うち)高(だか)が、　　　　　　　　　　　

造(つく)りたる真(ま)羽地(はねじ)　　　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)が　　　　　　　　　　

雲子(くもこ)寄(よ)せるグスク

鳴(と)響(よ)む打(うち)高(だか)が、

１１８５

源河(げんか)成思(なりおもい)は、　　　　　　　　　

精(せじ)玉(たま)グスク

大和(やまと)の鬼(おに)こそ　こう　ある

意地気成思(いじきなりおもい)は、　　　　　　　　

１１８６

源河(げんか)成思(なりおもい)は、　　　　　　　　

今帰仁(なきじん)　上(のぼ)り　　　　　　　　

徳(とく)満(みつ)を　造(つく)り　　　　　　　

御倉(みくら)の　鳴(と)響(よ)み　　　　　　　

意地気成思(いじきなりおもい)が、　　　　　　　

１１８７

聞(きこ)え池(いけ)城(ぐすく)、　　　　　　　　　　

見(み)ぬ人(ひと)は　滅(ほろ)び

聞(きこ)え鬼(おに)

見(み)る者(もの)は　勝(まさ)り

鳴(と)響(よ)む池(いけ)城(ぐすく)、

１１８８

辺(へ)戸(ど)の弱宣(なよぜり)人(きよ)、　　　　　　　

浦鳴(うらなり)鼓(つづみ)　打(う)てば　　　　　　　

依(より)笠(かさ)が　誇(ほこ)り　　　　　　　　

柔(やわ)らかき弱宣人(なよぜりきよ)、　　　　　　　　　　

１１８９

辺(へ)戸(ど)の御宣(みぜり)人(きよ)よ、　　　　　　

静(しず)かに　静(しず)かに　喜(よろこ)び

柔(やわ)らかき御宣人(みせりきよ)が、

１１９０

辺(へ)戸(ど)の親(おや)神女(のろ)が、　　　　　　　　　

良(よ)くせよ　良(よ)くせよ　誇(ほこ)ろう

辺(へ)戸(ど)の神女(のろ)よ、　　　　　　　　　　　　　

辺(へ)戸(ど)の大浜(おおはま)に、　　　　　　　　　　　　　

辺(へ)戸(ど)の中浜(なかはま)に、　　　　　　　　　　　　　　

１１９１

辺(へ)戸(ど)の安須(あす)モリに　押(お)せ、　　　　

辺(へ)戸(ど)の切(き)り口(くち)に　押(お)せ

押(お)せ　妻女(やちよこ)　　　　　　　　　　　　　　　

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

１１９２

辺(へ)戸(ど)の二所(たところ)、　　　　　　　　　　

思(おも)い二所(たところ)

まこと　見(み)たる

まさに　見(み)たる

恩納(おんな)は　千島(ちしま)よ、　　　　　　

安富(あふ)祖(そ)は　千島(ちしま)よ　　　　　　

１１９３

辺(へ)戸(ど)の子(し)なれば、

二所(たところ)なれば

海苔(のり)は　良(よ)き物(もの)

我(わ)が浦(うら)の習(なら)い、

我(わ)が国(くに)の習(なら)い

粟(あわ)神酒(みき)　造(つく)り、　　　　　　　　　

黍(きび)神酒(みき)　造(つく)り　　　　　　　　　　

１１９４

聞(きこ)え今帰仁(なきじん)に、

これこそ　国中(くになか)の按(あん)司(じ)

百(もも)按司(あんじ)　添(そ)うて　ください

鳴(と)響(よ)む今帰仁(なきじん)に、

１１９５

今帰仁(なきじん)の聞(きこ)え按(あん)司(じ)、　　　　　　　　　　　

天(てん)より下(した)の　王様(おうさま)太陽(てだ)　　　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む国(こく)聞(きこ)え按(あん)司(じ)、　　　　　　　　　　　

１１９６

聞(きこ)え今帰仁(なきじん)に、

按司(あんじ)　選(えら)んでこそ　待(ま)ちます

掛(か)け栄(は)え　

世(よ)の栄(は)え　あります

鳴(と)響(よ)む今帰仁(なきじん)に、

１１９８

聞(きこ)え今帰仁(なきじん)に、

大神酒(おおみき)の満(み)ち上(あ)がるグスク

鳴(と)響(よ)む今帰仁(なきじん)に、

１１９９

聞(きこ)え今帰仁(なきじん)に、

備(び)瀬(せ)の端崎(はなざき)に　　　　　　　　　　

居(お)れば　巣立(すだ)ち

世(よ)守(まも)る神酒(みき)の数(かず)

鳴(と)響(よ)む今帰仁(なきじん)に、

１２００

地頭(じと)殿(どの)が捧(ささ)げ、　　　　　　　　　

揃(そろ)い　親(おや)拍子(ひょうし)　喜(よろこ)び

具志堅(ぐしけん)の貢(みつぎ)、　　　　　　　　　　

１２０２

内間(うちま)御役人(おきて)、　　　　　　　　　　

鬼(おに)御役人(おきて)　　　　　　　　　　　　

「エ　ケ」　誇(ほこ)れ

辺(あた)り山(やま)、　　　　　　　　　　　　

垣内(かくち)山(やま)　　　　　　　　　　　　　

桑木(くわぎ)　植(う)えて、　　　　　　　　　

愛(め)でる木(き)　植(う)えて　　　　　　　　

鼓(つづみ)　造(つく)り、

鳴(な)り鼓(つづみ)　造(つく)り

１２０４

勢(せ)理客(りきゃく)の神女(のろ)の、　　　　　　　　

明忍(あけしの)の神女(のろ)の　　　　　　　　　　

織(お)り上(あ)げたる　清(きよ)らさ

石(いし)槌(つち)は　好(この)み、　　　　　　　　　

金槌(かねつち)は　好(この)み　　　　　　　　　　

１２０５

聞(きこ)え打(うち)高(だか)が、　　　　　　　　　　　　

植(おわ)嶽(だけ)　来(き)まして　　　　　　　　

鼓声(つづみごえ)

聞(き)きたく　ありまして

鳴(と)響(よ)む打(うち)高(だか)が、

嘉津宇(かつう)岳(だけ)　いまして　　　　　　

１２０７

伊是名(いぜな)強子思(しうこもい)、　　　　　　　　　

大国強子思(おおくにしうこもい)　　　　　　　　　　

若松(わかまつ)が　嬉(うれ)しさ　　　　　　　　　

比屋(ひや)仁屋(にや)　中(なか)グスク　　　　　　　

頂(いただ)き　中(なか)グスク、

中(なか)グスク　上(のぼ)り

１２０８

聞(きこ)え今帰仁(なきじん)に、　　　　　　　　　　　

差羽(さはね)由良(ゆら)長(ふさ)よ　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む今帰仁(なきじん)に、

１２０９

照(てる)日(ひ)が　拍子(ひょうし)、　　　　

手(て)　打(う)たれて

踊(おど)りが　清(きよし)らさ

思(おも)いが　拍子(ひょうし)、

１２１０

照(てる)日(ひ)が　拍子(ひょうし)、

これこそ　親思(おやおも)い拍子(ひょうし)

思(おも)いが　拍子(ひょうし)、

１２１１

照思(てるおもい)愛(がな)し、　　　　　　　　　　

吾(わ)がおなごなれば

打(う)って　輝(かがや)きなさい

思(おも)い思(おも)い愛(がな)し、　　　　　　　　　　　　　

１２１２

一(いち)の弱人(なよりきよ)が、　　　　　　　　　

差羽(さはね)由良(ゆら)長(ふさ)よ　　　　　　　　　

仲地(なかち)貴(たき)き方(かた)　鳴(と)響(よ)み　　　　　　

聞(きこ)え今帰仁(なきじん)に、

差羽(さはね)由良(ゆら)長(ふさ)よ

鳴(と)響(よ)む今帰仁(なきじん)に、

１２１３

思(おも)う愛(かな)しき照(てる)日(ひ)、　　　　　　　　

御顔(おかお)の　美(うつく)しき按司(あんじ)

思(おも)い思(おも)い愛(かな)しき、

１２１４

伊是名(いぜな)親(おや)神女(のろ)よ、　　　　　　　

押(おし)笠(かさ)に　知(し)られて　　　　　　　

家入(やいり)庭(みや)　　　　　　　　　　　　

雲子(くもこ)　積(つ)み　差(さ)し上(あ)げよ

伊平屋(いへや)の親(おや)神女(のろ)よ、

離(はな)れ親(おや)神女(のろ)よ、

１２１５

我喜屋(がきや)親(おや)神女(のろ)よ、　　　　　　　

聞(きこ)え真(ま)根(ね)櫛(くし)　　　　　　　　　　　　

百度(ももと)　手(て)　摩(す)られて　　　　　

聞(きこ)え真(ま)根(ね)櫛(ぐし)、

吾(わ)が拝(おが)む親(おや)神女(のろ)

阿(あ)嘉(か)の子(こ)を　済(す)ましたる、　　　

饒波(ねは)の子(こ)を　済(す)ましたる　　　　

１２１６

阿(あ)嘉(か)の子(こ)が、　　　　　　　　　

伊是名(いぜな)　居(い)て　見(み)れば　　　　　

今帰仁(なきじん)は　　　　　　　　　　　

御酒(みき)こそ　盛(も)ります

饒波(ねは)の子(こ)が、　　　　　　　　　

伊平屋(いへや)に　居(い)て　見(み)れば

今帰仁(なきじん)は

１２１７

今日(きょう)は　上間子(うえまし)、　　　　　　　　　　　　

果報(かほう)時(どき)　取(と)り遣(や)り

百歳(ひゃくさい)まで

お誇(ほこ)り　しまして

伊平屋(いへや)の　二(ふた)つ島(しま)、　　　　　　

果報(かほう)時(どき)　取(と)り遣(や)り

伊平屋(いへや)の美(うつく)しい岬(みさき)、

１２１８

伊江(いえ)の東(ひがし)に、

世(よ)の貢(みつぎ)

御神酒(おみき)　真(ま)貢(みつぎ)

小島(こじま)東(ひがし)に、

小島(こじま)　います　吾(われ)は、

離(はな)れ　います　吾(われ)は、

島中(しまなか)のおもろのさうし

１２１９

宮城(みやぐすく)金子(こがねし)、　　　　　　　　　　

良(よ)き金子(こがねし)

金子(こあねし)に　「下(くだ)さい」　　　　　　

稲福(いなふく)に　上(のぼ)り、　　　　　　　　

按司(あんじ)が前(まえ)に　上(のぼ)り

鉄(かな)冑(かぶと)　「下(くだ)さい」、　　　　　　

鉄(かな)鎧(よろい)は　　　　　　　　　　　　

吾(わ)が弟(おとうと)　三人(さんにん)、　　　　　　　　

吾(わ)が弟(おとうと)　四人(よんにん)

１２２０

三呼(さんこ)鳴(と)響(よ)む子(し)、　　　　　　　

良(よ)き鳴(と)響(よ)む子(し)　　　　　　　　　　　　

清(きよ)らかな太陽(てだ)　守(まも)る太陽(てだ)　　　　　

父(ちち)の前(まえ)に、

落(お)とし　壊(こわ)して来(こ)い

清(きよ)らかな太陽(てだ)　　　　　　　　　　

稲福(いなふく)の崖(がけ)、　　　　　　　　　

寄(よ)り立(だ)ちの崖(がけ)

１２２１

稲福(いなふく)の世(よ)勝(まさり)、　　　　　　　　

造(つく)って　下(くだ)さい

見(み)て揚(あ)がり　誇(ほこ)ります

国(くに)の根(ね)の世(よ)勝(まさり)、

１２２２

高川(たかがわ)の水(みず)の、　　　　　　　　

寄(よ)せ越(こ)すものなれば

抜(ぬ)き上(あ)げ水(みず)

愛(め)でたる水(みず)　なして

親(おや)川(かわ)の水(みず)は、　　　　　　　　

１２２３

大城(おおぐすく)　います、　　　　　　　

世掛(よが)け按(あん)司(じ)様(さま)の

御馬連(おうまづ)れが　見物(みもの)

国(くに)根(ね)　います、

糸数(いとかず)　使(つか)い、　　　　　　　　

根(ね)国(こく)　使(つか)い

１２２４

大城(おおぐすく)親軍(おやいくさ)、　　　　　　　　　

大国鳴(おおくにと)響(よ)み軍(いくさ)

見(み)てこそ　見(み)たがる　　　　　　　　　　　　

国(くに)の根(ね)の親軍(おやいくさ)、

１２２５

聞(きこ)え大城(おおぐすく)、　　　　　　　　　　　　　　　　

見(み)揚(あ)がる門(もん)　建(た)てて

御酒(おさけ)　持(も)ち寄(よ)せよ

鳴(と)響(よ)む大城(おおぐすく)、

１２２６

思(おも)う子(こ)　なつかしや、

親(おや)と　撓(しな)い　貢(みつぎ)して

愛(め)でる按司(あんじ)に　思(おも)われて

和名(わな)の新貢(あらみつぎ)、

１２２７

百名(ひゃくな)　浦(うら)南風(はえ)　吹(ふ)けば、　　　　　　　

煽(あおり)八重(やえ)　按司(あんじ)大主(おそい)　守(まも)ろう　　　　　　

我(わ)が浦(うら)は　浦(うら)南風(はえ)　吹(ふ)けば、

降(うり)旬(ずん)　煙(けむ)るもの　立(た)てば、

１２２８

百名(ひゃくな)　梅雨明(つゆあ)け風(かぜ)　吹(ふ)けば、　　　　　　

うらうらと　若君(わかぎみ)　使(つか)い

我(わ)が浦(うら)は　梅雨明(つゆあ)け風(かぜ)　吹(ふ)けば、　　　　　　　　　

漕(こ)ぐごとに　蒲(こ)葵(ば)の花(はな)　咲(さ)きます、　　　　　　　　

掻(か)くごとに　波(なみ)の花(はな)　咲(さ)きます、　　　　　　　　　

１２２９

和名(わな)の思(おも)う子(こ)が、　　　　　　　　

見遣(みや)り欲(ほ)しく

百名(ひゃくな)の寄思(よせもい)愛(がな)し　　　　　　　　　

和名(わな)の待遣(まちやり)子(し)が、　　　　　　　　

嘉津宇(かつう)岳(だけ)　上(のぼ)り、　　　　　　　　

１２３０

百名(ひゃくな)から　上(のぼ)り、　　　　　　　　

根(ね)国(くに)から　上(のぼ)り

島(しま)　揃(そろ)え

十百(ともも)末(すえ)　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　　　

首里(しゅり)モリ　います、

尚(おぎ)真(やか)王愛(もいがな)し　　　　　　　　　　　

１２３１

百名(ひゃくな)から　統(す)べて、　　　　　　

連(つ)れる　連(つ)れ

果報首(かほうしゅ)里親(りおや)国(ぐに)

崎(さき)枝(えだ)から　統(す)べて、　　　　　　　

１２３２

玉城(たまぐすく)　います、

島(しま)の主(ぬし)按司(てだ)よ

百島(ももしま)の　美(うつく)しい岬(みさき)　来(き)まして

国(くに)根(ね)　います、

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

１２３３

玉城(たまぐすく)、　　　　　　　　　　　　　

モリグスク

今(いま)より

百度(ももと)こそ　います　　　　　　　　

貴(たか)き人(ひと)、

浮雲(うきぐも)に　　　　　　　　　　　　　

１２３４

天頂(あまつづ)は　雨(あめ)さえも　漏(も)らぬ、　　　

天頂(あまつづ)は　四阿(あずまや)を　輝(かがや)かせ　　　　　

天頂(たまつづ)は　水(みず)さえも　漏(も)らぬ、　　　

１２３５

玉城(たまぐすく)　います、

意地(いじ)気(き)清(きよ)らかな按(あん)司(じ)よ　　　　　　　　　　　　　　

この世(よ)　掛(か)け詰(つ)めて　ください

国(くに)根(ね)に　います、

意地(いじ)気(き)清(きよ)らかな按(あん)司(じ)よ　　　　　　　　　　　　　　

１２３６

雲子(くもこ)　玉(たま)グスク、

真玉(まだま)モリグスク

大君(おおきみ)に　知(し)られて

御宣人(みぜりきよ)が　憑(つ)き女(め)、

神女(のろ)様(さま)が　降(お)り女(め)

１２３７

御側子(おぎやかし)が　おもろ、　　　

筑紫(つくし)剣(つるぎ)　帯(お)びて　　　　　

勾玉(まがたま)　　　　　　　　　　

幸(さち)の国(くに)寄(よ)せるグスク　　　　　

御側子(おぎやかし)が　祝詞(せるむ)、　　　　

１２３８

雲子(くもこ)モリ、　　　　　　　　

真玉(まだま)モリグスク

金愛(かねがな)し　　　　　　　　　

君誇(きみほこり)　造(つく)り　　　　　　

百(ひゃく)名内(なうち)に、　　　　　　　

選(えら)び置(お)きたる　真(ま)民(たみ)　　　

崎(さき)枝内(えだうち)に、　　　　　　　

選(え)り置(お)きたる　真(ま)民(たみ)　　

１２３９

雲子(くもこ)モリグスク、

植(おわ)守(もり)は　手(て)　摩(す)り　　　　　　

世(よ)勝(まさ)る拍子(ひょうし)

打(う)って　差(さ)し上(あ)げよ

真玉(まだま)モリグスク、

１２４０

聞(きこ)え植(おわ)守(もり)が、　　　　　　　　　　

雲子(くもこ)モリ　降(お)りられて

銀(しろがね)　金(こがね)　　　　　　　　　　　　

輝(かがや)く　清(きよ)らさ

鳴(と)響(よ)む植(おわ)守(もり)が、

１２４１

聞(きこ)え綾天(あやてん)が、　　　　　　　　　　　

精(せじ)の拍子(ひょうし)

珍(めずら)しき拍子(ひょうし)　差(さ)し上(あ)げよ

鳴(と)響(よ)む綾(あや)天(てん)が、

１２４２

聞(きこ)え綾(あや)天(てん)が、　　　　　　　　　　　

精(せい)雲子(くもこ)モリ　降(お)りられて　　

精(せじ)の拍子(ひょうし)

珍(めずら)しき拍子(ひょうし)　差(さ)し上(あ)げよ

鳴(と)響(よ)む綾(あや)天(てん)が、

１２４３

良(よ)謡人(たいきよ)の　おもろ、　　　　　　　

筑紫(つくし)剣(つるぎ)　帯(お)びて　　　　　　　　　

造(つく)り　十百度(とももと)　あります　　　　　　　　

御側子(おぎやかし)の　おもろ、　　　　　　　

１２４４

屋(や)嘉部(かべ)神女(のろ)、　　　　　　　　　　

気速(けばや)神女(のろ)　　　　　　　　　　　　

精(せじ)渡久地(とぐち)

立(た)ちます　鳴(と)響(よ)み

１２４５

糸数(いとかず)に　います　按司(あんじ)、　　　　　

伊(い)祖(そ)の按(あん)司(じ)　見(み)まして　　　　　　　

道(みち)　廻(まわ)り

屋(や)嘉部(かべ)から　歩(あゆ)む　按司(あんじ)、　　　

１２４６

糸数按司(いとかずあんじ)、　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)　　　　　　　　　

喜(よろこ)び　輝(かがや)きなさい　　　　　

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

浦崎(うらさき)に　使(つか)い、　　　　　　

我(が)那覇(なは)に　使(つか)い　　　　　　

１２４７

糸数按司(いとかずあんじ)、

按(あん)司大主按司(じおそいあんじ)

世(よ)守(まも)る　拍子(ひょうし)

打(う)って　差(さ)し上(あ)げよ

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

御弓(みゆみ)　持(も)たせて、

真弓(まゆみ)　持(も)たせて

渡(わた)せば　渡(わた)せ、

下(くだ)せば　下(くだ)せ

１２４８

知念(ちねん)　います　若人(わかきよ)、　　　　

畏(おそ)れて

船漕(ふねこ)ぎ　細(こま)かさ　　　　　　　　

崎(さき)に　います　若人(わかきよ)、　　　　　　　　　　　

若(わか)き人(ひと)　畏(おそ)れて

船漕(ふねこ)ぎ　細(こま)かさ

崎(さき)に　います、

番外

阿(あ)嘉(か)犬子(いんこ)が　上下(かみしも)　鳴(と)響(よ)む、　　　　

親思(おやおも)い御殿(おどの)　造(つく)り

饒波(ねは)犬子(いんこ)が　上下(かみしも)、　　　　　　　　

按司(あんじ)　珍(めずら)しさ　　　　　　　　　　　

山城(やまぐすく)按司(あんじ)