巻

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巻５　首里(しゅり)おもろの御(おん)さうし

２１２

首里(しゅり)の　国王(てだ)と、　　　　　　　　　　　　　　　

天(てん)に　照(て)る　太陽(てだ)と　　　　　　　　　　　　　　　　　

ともに　居(い)て下(くだ)さい

愛(いと)しき国王(てだ)と、　　　　　　　　　　　　　　　　

天(てん)に　照(て)る　太陽(てだ)と　　　　　　　　　　　　　　

国王(てだ)　一(いち)の人(ひと)と、　　　　　　　　　　

天(てん)に　照(て)る　太陽(てだ)と　　　　　　　　　　　　　　　　　

国王(てだ)　貴(たか)き人(ひと)と、　　　　　　　　　　

天(てん)に　照(て)る　太陽(てだ)と　　　　　　　　　　　　　　　　　

２１３

首里(しゅり)　居(い)ましてからは、

島(しま)の主(ぬし)国王(てだ)よ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

今(いま)こそ　上下(かみしも)　鳴(と)響(よ)め　　　　　　　　　　　　

グスク　居(い)ましてからは、　　　　　　　　　　

２１４

首里(しゅり)モリ　上(のぼ)り　行(ゆ)けば、

夜(よ)の明(あ)けて

太陽(てだ)の　照(て)ります様(よう)に　　　　　　　　　　

真玉(まだま)モリ　上(のぼ)り　行(ゆ)けば、

２１５

首里(しゅり)モリよ、　

我(わ)が親(おや)国(ぐに)よ

喜(よろこ)び栄(は)えなさい　　　　　　　　　　　　　　

良(よ)き日(ひ)の　数(かず)よ、

輝(かがや)く日(ひ)の　数(かず)よ

２１６

首里(しゅり)モリ　真玉(まだま)モリ　造(つく)り、

後(のち)勝(まさ)る世(よ)守(まも)る拍子(ひょうし)　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　　　　

下足(しもあし)から　基(もと)足(あし)から　織(お)り上(あ)げて、　　　　　

丈(たけ)高(たか)く　幅広(はばひろ)く　織(お)り上(あ)げて、

２１７

首里(しゅり)　います　太(て)陽子(だこ)が、　　　　　　　　　　　　　　

玉石(たまいし)垣(がき)　造(つく)り　　　　　　　　　　　　　　

玉(たま)金(こがね)　満(み)ち満(み)ちたるグスク　　　　　　　　　

グスク　居(い)ます　太(て)陽子(だこ)が、　　　　　　　　　　　　　

玉石(たまいし)垣(がき)　造(つく)り　　　　　　　　　　　　　　

２１８

首里(しゅり)モリ　造(つく)り、

造(つく)りたる　清(きよ)らさ

上下(かみしも)の世(よ)　　　　　　　　　　　　　　　　　

揃(そろ)える　グスク　　　　　　　　　　　　　　

真玉(まだま)モリ　造(つく)り、

造(つく)りたる　清(きよ)らさ

２１９

太良(たら)金(がね)が細工(さいく)、　　　　　　　　　　　　　　

神(かみ)の地(ち)まで　鳴(と)響(よ)み

首里(しゅり)モリ

金(こがね)　寄(よ)り満(み)ちて　　　　　　　　　　　　　　

太良(たら)金(がね)が細工(さいく)、　　　　　　　　　　　　　　　　　

天(てん)までも　鳴(と)響(よ)め

２２０

聞(きこ)え按(あん)司(じ)大主(おそい)が、　　　　　　　　　　　　　　　　　

樋川門(ひかわもん)を　造(つく)り　　　　　　　　　　　　　

上下(かみしも)　揃(そろ)える　世(よ)の鍵(かぎ)　　　　　　　　　　　

打(う)って　差(さ)し上(あ)げよ

鳴(と)響(よ)む按(あん)司(じ)大主(おそい)が、

２２１

聞(きこ)え按(あん)司(じ)大主(おそい)が、

赤田門(あかたもん)は　開(あ)けられて　　　　　　　

神(かみ)太陽(てだ)は　揃(そろ)い　　　　　　　　

誇(ほこ)られて

鳴(と)響(よ)む按(あん)司(じ)大主(おそい)が、

精(せじ)の門(もん)を　開(あ)けられて　　　　　　　　

姉妹(おなり)神(がみ)　崇(あが)めて、　　　　　　　　　

奇宣人(くしせりきよ)　崇(あが)めて、　　　　　　　　　　

　

２２２

思(おも)う　又吹(またふき)は、　　　　　　　　　　　　　

お米(こめ)を　作(つく)り

神(かみ)の地(ち)に　ある　　　　　　　　　　　

まじないを　差(さ)し上(あ)げよ

愛(いと)しき　王笏(おうしゃく)が、　　　　　　　　　　　　　　　

お米(こめ)を　作(つく)り

天(てん)からは　降(ふ)り添(そ)い、

お米(こめ)を　作(つく)り

地(ち)からは　湧(わ)き上(あ)がる、

お米(こめ)を　作(つく)り

２２３

首里(しゅり)真地屋(まじや)、　　　　　　　　　　　　　　　

御殿(おどの)　入(はい)り　見(み)て

美(うつく)しき御殿(おどの)

グスク真地屋(まじや)御殿(おどの)、　　　　　　　　　　　　

２２４

首里(しゅり)モリグスク、

鳴(と)響(よ)む世(よ)守(まも)るモリ

世(よ)の果報(かほう)　世(よ)持(も)つ精(せじ)　差(さ)し上(あ)げよ

真玉(まだま)モリグスク、

２２５

首里(しゅり)真玉(まだま)モリ、

精高按司(せだかあんじ)大主(おそい)は　　　　　　　　　　　

君寄(きみよせ)　綺羅寄(きらよせ)　見物(みもの)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

君(きみ)の望月(もちづき)は、

精高(せだか)按司(あんじ)大主(おそい)は

２２６

嶽(たけ)の鈴鳴(すずなり)は、　　　　　　　　　　　　

果報(かほう)　揃(そろ)えられ　　　　　　　　　　

父(ちち)なる方(かた)勝(まさ)る方(かた)　手(て)　摩(す)り

君(きみ)の望月(もちづき)が、　　　　　　　　　　　　　　

２２７

首里(しゅり)の福地(ふくち)氏は、　　　　　　　　　　　　　　　

良(よ)き踊(おど)りの主(ぬし)

今日(きょう)の珍(めずら)しさ

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

我謝(がじゃ)の浦(うら)の貢(みつぎ)、　　　　　　　　　　

内(うち)の浦(うら)の捧(ささ)げ

２２８

首里(しゅり)尚(た)泰(ら)久(よ)王(もい)は、　　　　　　　　　　　　

若(わか)国王(てだ)こそ

君(きみ)君(ぎみ)　似(に)せよ

グスク尚(た)泰(ら)久(よ)王(もい)は、　　　　　　　　　　　

２２９

首里(しゅり)　在(あ)る　見揚(みや)広場(がり)、　　　　　　　　　　　　　

神(み)酒寄(きよせ)　精寄(せんよせ)　造(つく)り　　　　　　　　　　　

グスク　あります　見揚(みや)広場(がり)、　　　　　　　　　　　　

２３０

首里(しゅり)モリ　います、

尚(おぎ)真(やか)王(もい)愛(がな)し　　　　　　　　　　　

天(てん)より下(した)の

王様(おうさま)太陽(てだ)　　　　　　　　　　　　　　　

真玉(まだま)モリ　います、

２３１

首里(しゅり)モリ　います、

世(よ)守(まも)る　精(せじ)　持(も)ちまして

太陽(てる)神(かわ)こそ　守(まも)り　　　　　　　　　　　　

世(よ)は　います

真玉(まだま)モリ　います、

照(てる)雲(くも)に　知(し)られ、　　　　　　　　　　　

添(そ)うて　凪(な)ぎなさい、　　　　　　　　　　　　　　

憑(つ)き女(め)　照(てる)雲(くも)に、　　　　　　　　　　　

降(お)り女(め)　照(てる)真物(まもの)、　　　　　　　　　　　

馬(うま)引(ひ)きを　座(すわ)らせて、

昔(むかし)より　勝(まさ)り、

いにしえより　勝(まさ)り、

上下(かみしも)は　揃(そろ)えて、　　　　　　　　　　　　

離(はな)れ地(ち)は　揃(そろ)えて

天(てん)が下(した)　揃(そろ)えて、　　　　　　　　　　　

太陽(てるか)神(わ)が　仰(おお)せこそ、　　　　　　　　　

　

２３２

首里(しゅり)の良(よ)き大工(だいく)、

清(きよ)き御殿(おどの)　造(つく)り

世(よ)勝(まさ)る尚(おぎ)真(やか)王(もい)こそ　　　　　　　　　　　　　　

十百度(とももと)　居(い)て下(くだ)さい　　　　　　　　　　　

グスクの良(よ)き大工(だいく)、

精(せじ)の御殿(おどの)　造(つく)り　　　　　　　　　　　

大君(おおきみ)を　崇(あが)めて、　　　　　　　　　　　　　　　　

押(おし)笠(かさ)を　崇(あが)めて、　　　　　　　　　　　

親(おや)神女(のろ)を　崇(あが)めて、　　　　　　　　　　

今帰仁(なきじん)の年寄(としより)達(たち)、　　　　　　　　　　　

誇(ほこ)り　なさる　使(つか)い

２３３

国(くに)笠(かさ)が　かがやき、　　　　　　　　　　

大世(おおよ)の主(ぬし)按(あん)司(じ)大主(おそい)　　　　　　　　　　　

いつまでも

揃(そろ)えて　います

雲子(くもこ)モリ親(おや)神女(のろ)、　　　　　　　　　　　

真玉(まだま)モリ　降(お)りて、

太陽(てるか)神(わ)を　崇(あが)めて、　　　　　　　　　　

照(てる)日(し)神(の)を　崇(あが)めて、　　　　　　　　　　

君(きみ)君(ぎみ)を　崇(あが)めて、

２３４

首里(しゅり)モリグスク、

島(しま)金(こがね)グスク　　　　　　　　　　　　　　

末永(すえなが)く

いつまでも　います　　　　　　　　　

真玉(まだま)モリグスク、

国(くに)金(こがね)グスク　　　　　　　　　　　　　　

２３５

玉(たま)と生(う)まれた王(おう)、

首里(しゅり)モリ　造(つく)り

上下(かみしも)の　戦(いくさ)精(せじ)　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　　　

清(きよ)く生(う)まれた王(おう)、

真玉(まだま)モリ　造(つく)り

首里(しゅり)モリ　います、

太陽(てだ)と生(う)まれた王(おう)　　　　　　　　　　　

２３６

清(きよ)き沖縄(おきなわ)が、　　　　　　　　　　

首里(しゅり)モリ　降(お)りられて

世(よ)守(まも)る　精(せじ)

尚(おぎ)真(やか)王(もい)に　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む沖縄(おきなわ)が、

真玉(まだま)モリ　降(お)りられて

君(きみ)が　寄(よ)り立(た)てば、

雲子(くもこ)　寄(よ)り満(み)たして　　　　　　　　　　

君(きみ)が　寄(よ)り立(た)てば、

金(こがね)　寄(よ)り満(み)たして　　　　　　　　　　　

２３７

玉(たま)と生(う)まれた王(おう)、

清(きよ)く生(う)まれた王(おう)

神(かみ)　民(たみ)　揃(そろ)え

誇(ほこ)りますれば

青(あお)き嶽(たけ)大主(おおぬし)、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

愛しきモリ大主(おおぬし)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

与論(かえふ)島(た)に　降ろして、

おとこ等に　取らせて

２３８

尚(あが)忠(る)王(い)の大主、　　　　　　　　　

世守る精(せじ)按司(あんじ)大主(おそい)　　　　　　　　　　　

天が下　　　　　　　　　　　　　

精(せじ)　遣わし　ください　　　　　　　

聞え国治める王、

世守る精按司大主　

２３９

いにしえ　始(はじ)まりたる、

首里(しゅり)モリグスク

これこそ　金内(こがねうち)に　譬(たと)える　　　　　　　　　　　　　

むかしに　始(はじ)まりたる、

真玉(まだま)モリグスク

２４０

天(てん)御人(みきよ)が真(ま)細工(ざいく)、　　　　　　　　　　　

首里(しゅり)モリ　造(つく)り

造(つく)り遣(や)り

尚(おぎ)真(やか)王(もい)に　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　　　　　

去(しね)行(り)国子(やこ)が真(ま)細工(ざいく)、　　　　　　　　　　

真玉(まだま)モリ　造(つく)り

２４１

天(あま)御人(みきよ)は、　　　　　　　　　　　　　　

大島(おおしま)を　造(つく)り　八千代(やちよ)

英(え)祖(ぞ)王(にや)末(すえ)　　　　　　　　　　　　　　　

尚(おぎ)真(やか)王(もい)に　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　　　　　　　

去(しね)行(り)国子(やこ)は、　　　　　　　　　　　　　

大島(おおしま)は

２４２

天(あま)御人(みきよ)が　仰(おお)せこそ、　　　　　　　　　

この大島(おおしま)　降(お)りられて

末永(すえなが)く

尚(おぎ)真(やか)王(もい)こそ　います　　　　　　　　　　

去(しね)行(り)国子(やこ)が　仰(おお)せこそ、　　　　　　　　

この大島(おおしま)　降(お)りられて

幸(さち)の花(はな)　取(と)り　抜(ぬ)き上(あ)げよ、　　　　　　　

塵(ちり)錆(さび)は　付(つ)けるな

幸(さち)の先(さき)　取(と)り　抜(ぬ)き上(あ)げ、　　　　　　　　　

粉(こな)錆(さび)も　付(つ)けるな

２４３

鍋(なべ)樽(だる)が　おもろ、　　　　　　　　　　　

百(もも)度(と)　変(か)わり来(く)るとも

これこそ　まことに　鳴(と)響(よ)む

鍋(なべ)樽(だる)が　祝詞(せるむ)、　　　　　　　　　　　　　　　　　　

２４４

鍋(なべ)樽(だる)が　おもろ、　　　　　　　　　　　

グスク御殿(おどの)　造(つく)り

上下(かみしも)の　見物(みもの)する　清(きよ)らさ　　　　　　　

２４５

世(よ)垂人(だいきよ)が　おもろ、　　　　　　　　　　

英(え)祖(ぞ)王(にや)末(すえ)国王(てだ)が家(いえ)　　　　　　　　　　　　　　

世(よ)広(ひろ)く　世(よ)長(なが)く　居(い)て下(くだ)さい

世(ゆ)垂人(だいきよ)が　祝詞(せるむ)、　　　　　　　　　　

２４６

騒人(さわちきよ)が　おもろ、　　　　　　　　　　　　　

金(こがね)　きらめく様(よう)に　　　　　　　　　　　

末永(すえなが)く

これこそ　言(い)って　鳴(と)響(よ)め

騒人(さわちきよ)が　祝詞(せるむ)、　　　　　　　　　　　　

首里(しゅり)モリグスク、

金(こがね)　きらめく様(よう)に　　　　　　　　　　　

京(きょう)　鎌倉(かまくら)　有(あ)るように、

２４７

騒人(さわちきよ)が　おもろ、　　　　　　　　　　　

御祝付(おえつき)が　祝詞(せるむ)　　　　　　　　　　　　

末永(すえなが)く

これこそ　言(い)って　鳴(と)響(よ)め

聞(きこ)えグスク御殿(おどの)、

鳴(と)響(よ)むグスク御殿(おどの)

糸車(いとぐるま)　引(ひ)いて、

真(ま)糸(いと)の縄(なわ)　延(の)べて

２４８

吾(わ)が金(かね)グスク、　　　　　　　　　　　　　　

喜(よろこ)んで　差(さ)し上(あ)げれば

末(すえ)　勝(まさ)り

千八千代(ちやちよ)に　あります　　　　　　　　　　　

首里(しゅり)モリグスク、

喜(よろこ)んで　差(さ)し上(あ)げれば

喜(よろこ)んで　差(さ)し上(あ)げれば、

心(こころ)　緩(ゆる)みゆく

２４９

頼(たの)む中嶺(なかみね)は、　　　　　　　　　　　　　　　

百按司(ももあんじ)より　　　　　　　　　　　　　　

肝(きも)　勝(まさ)りなさい

頼(たの)む地頭(じとう)は、　　　　　　　　　　　　　　　　

２５０

頼(たの)む中嶺(なかみね)は、　　　　　　　　　　　　　　　　　　

頼(たの)む地頭(じとう)は　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

これこそ　按司(あんじ)の尚思紹(きみしてだ)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

首里(しゅり)　います　太陽子(てだこ)、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

いとしい太陽子(てだこ)

百(もも)浦(うら)大主(おそい)　居(い)まして、　　　　　　　　

世(よ)の守(まも)り　居(い)まして

座(すわ)り　居(い)れば　麗(うるわ)しく、

着(つ)いて　居(い)れば　見(み)たい　　　　　　　

２５１

中嶺(なかみね)　来(く)るので、　　　　　　　　　　

地頭(じとう)　来(く)るので　　　　　　　　　　　

首里(しゅり)京(きょう)の内(うち)　賑(にぎ)やかせよ

貢(みつぎ)　させて　来(く)るので、　　　　　　　

捧(ささ)げ　させて　来(く)るので　　　　　　　

２５２

中嶺(なかみね)　来(く)るので、　　　　　　　　　　　

地頭(じとう)　来(く)るので　　　　　　　　　　　　

これを　言(い)って　按司(あんじ)大主(おそい)　栄(は)えよ　　　　　　　　　　　

阿(あ)嘉(か)犬子(いんこ)　おもろ、　　　　　　　　　　　

饒波(ねは)犬子(いんこ)　おもろ　　　　　　　　　　　　

真(ま)石(いし)金(がね)　思(おも)い、　　　　　　　　　　　　　

吾(われ)が　寄(よ)せて　おけば

２５３

赤(あか)割(わり)が　おもろ、　　　　　　　　　　　　

口(くち)正(ただ)しく　あり

十百度(とももと)　おがみ　　　　　　　　　　　　　

輝(かがや)いて

年(とし)の始(はじ)まりに、

祝(いわ)い事(ごと)　すれば

首里(しゅり)モリ　います、

世(よ)勝(まさ)りの　尚(おぎ)真(やか)王(もい)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

真玉(まだま)モリ　います、

世(よ)勝(まさ)りの　尚(おぎ)真(やか)王(もい)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

永(なが)く　数(かぞ)えなさい、

世(よ)勝(まさ)りの尚(おぎ)真(やか)王(もい)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

２５４

吾(われ)の赤(あか)割(わり)は、　　　　　　　　　　　　　　　

口(くち)正(ただ)しく　あれば

世(よ)広(ひろ)く　世(よ)長(なが)く　います

年(とし)の始(はじ)まりに、

祝(いわ)い事(ごと)　差(さ)し上(あ)げれば

２５５

赤(あか)割(わり)が　おもろ、　　　　　　　　　　　　　

安須(あす)モリの　　　　　　　　　　　　　　　　　

世(よ)守(まも)る清(きよ)き水(みず)　差(さ)し上(あ)げよ

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

２５６

赤(あか)割(わり)が　おもろ、　　　　　　　　　　

赤(あか)割(わり)が　祝詞(せるむ)　　　　　　　　　　　

思(おも)う子(こ)こそ

末永(すえなが)く　有(あ)ります

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

英(え)祖(ぞ)王(にや)末(すえ)なので、　　　　　　　　　

太陽(てだ)が末(すえ)なので　　　　　　　　　　

首里(しゅり)モリ　ありまして、

真玉(まだま)モリ　ありまして

２５７

島尻(しまじり)の　おもろ、　　　　　　　　　

口(くち)正(ただ)しく　あり

天地(てんち)のあるかぎり　あります

島尻(しまじり)が　祝詞(せるむ)、　　　　　　　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)の　思(おも)う子(こ)、　　　　　　　

どこの按司(あんじ)に　譬(たと)えよう

２５８

吾(われ)の赤嶺(あかみね)真(ま)、　　　　　　　　　　　　

口(くち)正(ただ)しく　あり

国王(てだ)なので　　　　　　　　　　　　　

末永(すえなが)く　あります

吾(われ)の元嶺(もとみね)真(ま)、　　　　　　　　　　　　

２５９

吾(われ)の赤嶺(あかみね)真(ま)、

口正しく　あり

百按司(ももあんじ)　直(なお)す　　　　　　　　　　　　

精(せじ)　持(も)つ　貴(たか)さ

吾(われ)の元嶺(もとみね)真(ま)、

２６０

精(せじ)の子(こ)　産(う)んでからは、　　　　　

我(わ)が身(み)　若(わか)くなり

太陽(てだ)の命(いのち)　　　　　　　　　　　　　

神(かみ)の命(いのち)　差(さ)し上(あ)げよ

思(おも)う子(こ)を　産(う)んでからは、

２６１

愛(いと)しい国頭(くにがみ)の　おもろ、　　　　　　　　

小袖(こそで)肌(はだ)　御肝(おぎも)　　　　　　　　　　　　

まことに　役人(やくにん)に　思(おも)われて　　　　　　　　　　　

愛(いと)しい国頭(くにがみ)が　祝詞(せるむ)、　　　　　　　　　　　　　　　

２６２

愛(いと)しい国頭(くにがみ)が　祝詞(せるむ)、　　　　　　　　　

良(よ)き国頭(くにがみ)が

天(てん)の下(した)

まことに　鳴(と)響(よ)みなさい

首里(しゅり)モリ　います、

尚(おぎ)真(やか)王(もい)愛(がな)し　　　　　　　　　　　　　

居(い)て　下(くだ)されば　麗(うるわ)しく、

着(つ)いて　下(くだ)されば　麗(うるわ)しく

２６３

真(ま)道(みち)気(け)の　おもろ、　　　　　　　　　

精(せじ)の口(くち)正(ただ)しく

千八千代(ちやちよ)に　　　　　　　　　　　　　

末永(すえなが)く　あります

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

大君(おおきみ)を　崇(あが)めて、

国(くに)守(もり)を　崇(あが)めて

首里(しゅり)モリ　います、

世(よ)勝(まさ)りの　尚(おぎ)真(やか)王(もい)　　　　　　　　　　　　　　　　　

２６４

真(ま)道(みち)気(け)の　おもろ、　　　　　

口(くち)正(ただ)しく　あれば

英(え)祖(ぞ)王(にや)末(すえ)なれば　　　　　　　

思(おも)う子(こ)こそ　います

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

首里(しゅり)モリグスク、

真玉(まだま)モリグスク

百(もも)浦(うら)大主(おそい)　いまして、　　　

精(せじ)の御殿(おどの)　いまして

２６５

直人(なおじきよ)は、　　　　　　　　　　　　　

今日(きょう)は　何(なに)を　なされる

良(よ)き神酒(みき)盛(も)り　　　　　　　　　　　

忙(いそが)しさを　なされるか

直人(なおじきよ)は、　　　　　　　　　　

今(いま)は

２６６

直人(なおじきよ)が、　　　　　　　　　　

首里(しゅり)へと　来(く)れば　

島(しま)　広(ひろ)く

国(くに)　広(ひろ)く　あります

直人(なおじきよ)が、　　　　　　　　　　

御前(みまえ)へ

２６７

直人(なおじきよ)　面影(おもかげ)は、　　　　　　　

按司(あんじ)の　面影(おもかげ)は

愛(いと)しき　思(おも)い出(で)の国王(てだ)　　　　

按司(あんじ)からは　好(す)かれ、

役人(やくにん)からは　好(す)かれ　　　　　

２６８

清(きよ)き根茎人(にくけしや)、　　　　　　　　　　　　　

良(よ)き根茎人(にくけしや)　　　　　　　　　　　　

玉(たま)　積(つ)む

京(きょう)の内(うち)　見(み)たる

老(お)いた人(ひと)に　問(と)えば、　　　　　　　　　　

人(ひと)の親(おや)に　問(と)えば

いにしえより　勝(まさ)り、

むかしより　勝(まさ)り

２６９

清(きよ)き根茎人(にくけしや)、　　　　　　　　　　　　　

良(よ)き根茎人(にくけしや)　　　　　　　　　　　　　

見上(みあ)げる　鳥(とり)

見上(みあ)げる　鷲(わし)

海辺(うみべ)　舞(ま)う鳥(とり)は、

雲(くも)辺(べ)　舞(ま)う鳥(とり)は

鳥(とり)も　物(もの)　知(し)ると、

鷲(わし)も　物(もの)　知(し)ると

久米(くめ)は　もはや　過(す)ぎ、

慶良間(けらま)　舞(ま)い越(こ)えて

２７０

聞(きこ)え押(おし)掛(かけ)が、　　　　　　　　　　　　　　

首里(しゅり)モリ　降(お)りられて

君(きみ)の貢(みつぎ)　　　　　　　　　　　　　　　　　

尚(おぎ)真(やか)王(もい)に　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　　　　　

貴(たか)き君(きみ)殿(どの)が、　　　　　　　　　　　　　

真玉(まだま)モリ　降(お)りられて

憑(つ)き女(め)　五人(ごにん)に、　　　　　　　　　　　　　　　

降(お)り直(なお)してからは

降(お)り女(め)　七人(ななにん)に、　　　　　　　　　　　

降(お)り栄(は)えてからは　　　　　　　　　　　　　

２７１

貴(たか)き尚(おぎ)真(やか)王(もい)は、　　　　　　　　　　

精(せじ)の尚(おぎ)真(やか)王(もい)は　　　　　　　　　　　

王座(さすが)の大主(おそい)　　　　　　　　　　　　

世(よ)を　守(まも)って　下(くだ)さい

首里(しゅり)モリ　います、

尚(おぎ)真(やか)王(もい)愛(がな)し　　　　　　　　　　　　

２７２

貴(たか)き尚(おぎ)真(やか)王(もい)は、　　　　　　　　　　

精(せじ)の尚(おぎ)真(やか)王(もい)は　　　　　　　　　　　

太陽(てだ)の　照(て)る限(かぎ)り　います

首里(しゅり)モリ　います、

尚(おぎ)真(やか)王(もい)愛(がな)し　　　　　　　　　　

２７３

貴(たか)き尚(おぎ)真(やか)王(もい)は、　　　　　　　　　　

按司按司(あんじあんじ)　酒(さけ)　好(この)み　　　　　　　　

清(きよ)き屏風(びょうぶ)　

上下(かみしも)　鳴(と)響(よ)み　　　　　　　　　　　

精(せじ)の尚(おぎ)真(やか)王(もい)が、　　　　　　　　　　

２７４

貴(たか)き尚(おぎ)真(やか)王(もい)は、　　　　　　　　　　

精(せじ)の尚(おぎ)真(やか)王(もい)は　　　　　　　　　　　

按司(あんじ)　王(おう)　敬(うやま)い　従(したが)い

近(ちか)きは　囀(さえず)るな、　　　　　　　　　　　　　

側(そば)は　囀(さえず)るな　　　　　　　　　　　　　　　　　

願(ねが)い事(ごと)　有(あ)れば、

中(なか)　取(と)り持(も)ち　申(もう)して

２７５

貴(たか)き尚(おぎ)真(やか)王(もい)は、　　　　　　　　　　

精(せじ)の尚(おぎ)真(やか)王(もい)は　　　　　　　　　　　

来(き)て　御肝(おぎも)　休(やす)めよ

首里(しゅり)モリ　います、

尚(おぎ)真(やか)王愛(もいがな)し　　　　　　　　　　　　

近(ちか)き　謝名(じゃな)の御役人(おきて)、　　　　　　　　　　　　

近(ちか)き　渡嘉敷(とかしき)様(さま)　　　　　　　　　　　　　　

２７６

貴(たか)き尚(おぎ)真(やか)王(もい)は、　　　　　　　　　　　

首(しゅ)里親(りおや)国(ぐに)　居(い)てからは　　　　　　　　　　　　

末永(すえなが)く

嬉(うれ)しい世(よ)に　成(な)ります　　　　　　　　　　

精(せじ)の尚(おぎ)真(やか)王(もい)が、　　　　　　　　　　　

美(うつく)しい親(おや)国(ぐに)　居(い)てからは　　　　　　　　

２７７

貴(たか)き尚(おぎ)真(やか)王(もい)は、　　　　　　　　　　　　

精(せじ)の尚(おぎ)真(やか)王(もい)は　　　　　　　　　　　　

百按司(ももあんじ)の　見(み)たがる　国王(てだ)　　　　　　

首里(しゅり)モリ　います、

尚(おぎ)真(やか)王愛(もいがな)し　　　　　　　　　　　　　

２７８

貴(たか)き尚(おぎ)真(やか)王(もい)は、　　　　　　　　　　　

精(せじ)の尚(おぎ)真(やか)王(もい)は　　　　　　　　　　　　

末永(すえなが)く

これを　言(い)って　鳴(と)響(よ)め

首里(しゅり)　います　太陽子(てだこ)、　　　　　　　　　　　　　　　　　

グスク　います　太陽子(てだこ)　　　　　　　　　　　　　　　　　　

２７９

聞(きこ)え按(あん)司(じ)大主(おそい)が、　　　　　　　　　　　　　　　　

東(ひがし)に　来(こ)られまして

島(しま)世(よ)の　有(あ)る限(かぎ)り　居(い)て下(くだ)さい

鳴(と)響(よ)む　按司(あんじ)大主(おそい)が、

金(かね)の島(しま)　来(こ)られまして　　　　　　　　　　　　

聞(きこ)え按(あん)司(じ)大主(おそい)が、

首里(しゅり)モリ　いまして

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、

浦鳴(うらとよ)響(み)丸(まる)　召(め)されて　　　　　　　　　　　

島(しま)世(よ)の　有(あ)る限(かぎ)り

鳴(と)響(よ)む精(せ)高子(だかこ)が、

鳴(と)響(よ)み御船(みふね)　召(め)されて

聞(きこ)得(え)大君(おおきみ)が、

浦廻(うらまわり)丸(まる)　召(め)されて　　　　　　　　　　　

島(しま)世(よ)の　有(あ)る限(かぎ)り

２８０

尚(おぎ)真(やか)王(もい)が　お好(この)み、　　　　　　　　　　　　

離(はな)れ地(ち)を　揃(そろ)えて

歓会門(かんかいもん)を　造(つく)り　　　　　　　　　　

行(ゆ)く末永(すえなが)きまで

尚(おぎ)真(やか)王(もい)こそ　　　　　　　　　　　　　

末(すえ)　勝(まさ)り　下(くだ)さい

按司(あんじ)大主(おそい)が　お好(この)み、　　　　　　　　

大君(おおきみ)を　崇(あが)めて、

姉妹(おなり)君(ぎみ)　崇(あが)めて、　　　　　　　　　　　　　　

いにしえより　勝(まさ)り、

むかしより　勝(まさ)り、

精(せじ)の王(おう)なれば、

２８１

尚(おぎ)真(やか)王(もい)が、　　　　　　　　　　　

お好(この)みの　並(なみ)松(まつ)

尚(おぎ)真(やか)王(もい)　誇(ほこ)り

末(すえ)　勝(まさ)り

枝(えだ)　差(さ)して　ください

按司(あんじ)大主(おそい)が、　　　　　　　　　　

お好(この)みの　並(なみ)松(まつ)

天(あま)御人(みきよ)は、　　　　　　　　　　　

島(しま)を　創(つく)られて

去(し)行人(ねりきよ)は、　　　　　　　　　　

国(くに)を　創(つく)られて

尚(おぎ)真(やか)王(もい)が、

島(しま)は　気(き)を　合(あ)わせられて

按司(あんじ)大主(おそい)が、

国(くに)は　気(き)を　合(あ)わせられて

上下(かみしも)を　揃(そろ)えて、

離(はな)れ島(じま)も　揃(そろ)えて

神(かみ)太陽(てだ)も　守(まも)られよ、　　　　　　　

２８２

尚(おぎ)真(やか)王(もい)が　お好(この)み、　　　　　　　　

大道(おおみち)は　造(つく)り　　　　　　　　　　　

若松(わかまつ)　植(う)え差(さ)して

神(かみ)太陽(てだ)は　揃(そろ)い　　　　　　　　　　

誇(ほこ)られて

按司(あんじ)大主(おそい)が　お好(この)み、　　　　　　　　　

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に、

大君(おおきみ)を　崇(あが)めて、

君(きみ)君(ぎみ)を　崇(あが)めて、

幅(はば)　広(ひろ)く、

大道(おおみち)　造(つく)り　

２８３

尚(おぎ)真(やか)王(もい)が　お好(この)み、　　　　　　　

円覚寺(えんかくじ)　造(つく)り　　　　　　　　　　

祈(いの)られれば

国王(てだ)が　誇(ほこ)られて　　　　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)が　お好(この)み、　　　　　　　

大君(おおきみ)を　崇(あが)めて、

宮寺(みやでら)を　崇(あが)めて　　　　　　　　　　

君(きみ)君(ぎみ)を　崇(あが)めて、

上下(かみしも)を　揃(そろ)えて、　　　　　　　　　

離(はな)れ島(しま)を　揃(そろ)えて、

宮寺(みやでら)の　清水(しみず)、　　　　　　　　　　　　

尚(おぎ)真(やか)王(もい)に　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　　　

永遠(とわ)までも　末永(すえなが)く　あります　　　

２８４

尚(おぎ)真(やか)王(もい)が　お好(この)み、　　　　　　　　

松並(まつなみ)は　植(う)え差(さ)して

行(ゆ)く末永(すえなが)きまで

上下(かみしも)の　見物(みもの)する　清(きよ)らさ　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)が　お好(この)み、　　　　　　　

大君(おおきみ)を　崇(あが)めて、

君(きみ)君(ぎみ)を　崇(あが)めて、

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に、

精(せじ)の王(おう)なれば、　　　　　　　　　　

２８５

真刈子(まかるこ)の　おもろ、　　　　　　　　

精(せじ)の御殿(おどの)　いまして

貢(みつぎ)　御神酒(おみき)　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　　

末(すえ)　勝(まさ)り

末永(すえなが)く　あります

大君(おおきみ)が　持(も)て成(な)し、

精(せじ)の御殿(おどの)　いまして

君(きみ)の按(あん)司(じ)の　持(も)て成(な)し、

精(せじ)の御殿(おどの)　いまして

尚(おぎ)真(やか)王(もい)愛(がな)しが、　　　　　　　　　　

精(せじ)の御殿(おどの)　いまして

聞(きこ)え按(あん)司(じ)大主(おそい)が、

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

２８６

赤(あか)灯(ともい)の　おもろ、　　　　　　　　　

尚(おぎ)真(やか)王(もい)に　知(し)られ　　　　　　　　　

島(しま)　添(そ)えて

末永(すえなが)く　あります

赤(あか)灯(ともい)が　祝詞(せるむ)、　　　　　　　　　

尚(おぎ)真(やか)王(もい)が　お好(この)み、

植(う)え差(さ)したる　若松(わかまつ)

按司(あんじ)大主(おそい)が　お好(この)み、

植(う)え差(さ)したる　若松(わかまつ)

大君(おおきみ)を　崇(あが)めて、

君(きみ)君(ぎみ)を　崇(あが)めて

年(とし)　選(えら)び遣(や)り、

月(つき)　選(えら)び遣(や)り、

天(てん)の下(した)　鳴(と)響(よ)み、　　　　　　　　　

２８７

尚(おぎ)真(やか)王(もい)が　お好(この)み、　　　　　　　　　

造(つく)りたる　御倉(みくら)　　　　　　　　　　　　　　　　

百倉(ももくら)　引(ひ)き寄(よ)せて　差(さ)し上(あ)げよ　　　　　

按司(あんじ)大主(おそい)が　お好(この)み、　　　　　　　　

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に

大君(おおきみ)を　崇(あが)めて、

君(きみ)君(ぎみ)を　崇(あが)めて、

聞(きこ)え親(おや)泊(どまり)、　　　　　　　　　　　　　　　　

鳴(と)響(よ)む親(おや)泊(どまり)、　　　　　　　　　　　　　　　　

行(ゆ)く末永(すえなが)きまで、

２８８

尚(おぎ)真(やか)王(もい)が　お好(この)み、　　　　　　　　

精(せじ)の御倉(みくら)　添(そ)えて　　　　　　　　　

上下(かみしも)の　宝(たから)　　　　　　　　　　　　

積(つ)み　差(さ)し上(あ)げよ

按司(あんじ)大主(おそい)が　お好(この)み、　　　　　　　

精(せじ)の御倉(みくら)　添(そ)えて

大君(おおきみ)を　崇(あが)めて、

倉(くら)並(なみ)を　造(つく)り　　　　　　　　　　

君(きみ)君(ぎみ)を　崇(あが)めて、

今日(きょう)の良(よ)き日(ひ)に、

今日(きょう)の輝(かがや)く日(ひ)に、

いにしえよりも　勝(まさ)り、

２８９

英(え)祖(ぞ)王(にや)の家(いえ)は、　　　　　　　　　　

喜(よろこ)びなさる

誇(ほこ)りなさる

国王(てだ)が家(いえ)なれば、　　　　　　　　　

２９０

生花(いちはな)の　おもろ、　　　　　　　　　

按司(あんじ)南風(はえ)の　祝詞(せるむ)　　　　　　　　　

末永(すえなが)く

百(もも)浦(うら)大主(おそい)　います　　　　　　　　

天(てん)の愛(いと)しい方(かた)、　　　　　　　　　　　　　

里(さと)　心(こころ)　一(ひと)つに